「空飛ぶクルマ」の開発を手がけるスタートアップ企業「スカイドライブ」(愛知県)は13日、山口市内の飛行施設で高速試験飛行を報道陣に初公開した。機体は最高時速86キロに達し、瀬戸内海の遊覧を想定した海沿いの滑らかな飛行を実演した。
12基の電動ローター搭載 3人乗り小型機
公開された機体は12基の電動ローターで飛行し、パイロットを含めて最大3人が搭乗可能。全長11.5メートルとコンパクトな設計で、渋滞が深刻なアジア諸国を中心に420機以上の予約を受け付けている。価格は数億円を見込み、2028年の商用化を目標に開発が進められている。
試験飛行では、最高時速100キロの性能のうち86キロまで速度を上げた。同社の福沢知浩最高経営責任者(CEO)は「機体は静かで環境に優しい。沿岸の景色を楽しみ、着陸する流れを見てもらえたら」と説明。観光や防災での活用について山口県と協議中であることを明らかにした。
スズキ社長も期待 事業化への布石
機体の共同開発パートナーである自動車メーカー・スズキの鈴木俊宏社長は「生活を支えるエアモビリティーを自社の事業に加えたい」と述べ、空飛ぶクルマ事業への強い期待感を示した。スズキは軽自動車など小型車の技術を生かし、量産化やコスト低減に貢献する見通しだ。
観光と防災の両軸 山口県と連携へ
スカイドライブは山口県と連携し、観光振興と防災対応の両面で機体の活用を検討している。瀬戸内海の島々を巡る遊覧飛行や、災害時の物資輸送・人員搬送などが想定される。県関係者は「地域の新たな交通手段として期待している」とコメントした。
アジア市場を中心に先行予約420機超
同機はすでに420機以上の予約を獲得しており、特に都市部の交通渋滞に悩むアジア諸国からの引き合いが強い。スカイドライブは今後も試験飛行を重ね、2028年の商用化に向けて安全性と性能の向上を図るとしている。



