HFS ResearchとインドのITサービス大手TCS(タタ・コンサルタンシー・サービシズ)が2026年8月17日(現地時間)に発表した報告書によると、企業がAIの単なる導入から高次の活用へと段階を進めるにあたり、経営幹部はAIの成果を証明することに苦慮している。
経営幹部の3人に1人だけがAIを信頼
同報告書は、米国とカナダのC-suite(経営幹部)およびテクノロジー担当幹部100人超を対象に調査したものだ。HFS Research公式サイトによると、調査対象は米国・カナダのC-suiteおよびテクノロジーリーダー101人。
回答者の3人に1人が「AIが常に意図した成果を上げ、管理下にあり、規制当局・顧客・経営陣の信頼を得ている」と回答した。一方で、経営幹部の4人に1人は「テクノロジーを全社規模に拡大するために必要なガバナンスと管理体制が整っている」と回答したが、重要業務を任せられるほど自律型AIを信頼しているのは6人に1人にとどまった。
AIへの「依存」を阻む3つの要因
AIをどこまで信頼して業務に組み込めるのかが問われるようになり、AIへの支出増加や従業員のAI活用の遅れ、規制政策の変化などを背景に、経営幹部は導入に対してより慎重なアプローチを取り始めている。
SAPが2026年7月に発表した報告書によると、AIは従業員が洞察を得たり顧客とつながったりするのに役立っているものの、必ずしも時間やコストの節約につながっているわけではないという。価格設定モデルのばらつきやベンダーの乱立が、コスト面での問題を生み出している。
従業員のAIツールに対する理解不足も、企業がより実用的なAIアプローチを採用する要因の一つとなっている。米調査会社のForresterの調査によると、ナレッジワーカー(知識労働者)のうちAIを高度に理解しているのはわずか16%だった。
「ヒューマンインザループ」がAI信頼性の鍵
HFS Researchの報告書によると、AIに対する信頼と安心感は、人間が意思決定プロセスに関与する「ヒューマンインザループ」(HITL)の運用モデルを採用した場合に最も高まるという。同報告書は、信頼性の高いAIを持つことはすべての障害を防ぐことを意味するわけではないが、「企業が障害をどれだけ迅速に検知、説明、制御できるかによって決まる」と述べている。
ダーヒル氏によると、責任範囲と信頼レベルを明確に定めた「ヒューマンインザループ」戦略は、信頼性の高いAIを構築し、事業の中断を管理する上で極めて重要だという。「担当者を教育し、何に対して責任を負うのかを見極める必要がある」と述べた。
ダーヒル氏によると、信頼できるAIシステムを構築するには、人間の責任と管理に関する明確な戦略を持つことに加えて、AIがもたらすビジネス成果に基づいて評価する必要があるという。しかし、報告書によると、稼働時間や精度といった技術的な指標は、ビジネス成果よりも頻繁に追跡されている。
最後に、AIが複雑化するにつれて、経営幹部がAIの意思決定プロセスを説明することが難しくなってきている。AIの信頼性を確保するには、ガバナンスが不可欠になるとダーヒル氏は述べた。
「仕事や生活のあらゆる場面でAIの導入を求められている一方で、AIがどのように回答を導き出しているのか私たちが理解できていないため、信頼を損なう非常に大きな緊張が生じている」と述べた。



