24時間レースへの挑戦が続くトヨタとGRの意図
ル・マン24時間レースで4年ぶりに総合優勝を果たしたトヨタ。そのモータースポーツ部門であるGR(Toyota Gazoo Racing)は、さまざまな24時間レースに挑戦し続けている。その真の意図とは何か。そして、現在開発が進む「GR GT」の存在意義はどこにあるのか。
「スーパー耐久」シリーズ2026第3戦、富士24時間レース決勝は6月6日午後3時にスタート。それから17時間半が経過した翌7日の午前8時半に、GRプレジデントの高橋智也氏に単独でインタビューを実施した。
まず、GRが挑戦し続ける24時間レースは「GRにとってどんな存在か?」というシンプルな質問を投げかけた。高橋氏は「クルマづくり、人づくりの、濃密なストーリーが詰まった1日」と表現。この時、富士24時間レースは全体の約3分の2が経過したレースの真っただ中であり、実感のこもった一言だった。
「クルマづくり、人づくり」の重要性
決勝スタート前の6日午後12時から実施されたメディア向けラウンドミーティングでも、高橋氏は「クルマづくり、人づくり」の重要性を強調していた。
「5月のニュル(ニュルブルクリンク24時間)、(5月28〜31日開催の)ラリージャパン、富士24時間、これらのうち複数に参加しているエンジニアやメカニックもいる」とし、「モータースポーツ基点でのもっといいクルマづくり、ひとづくりは続いている」と指摘した。
「正直辛い」というレースに参戦する意味
ラリージャパンも含めると、5月から6月にかけてのトヨタのモータースポーツ活動は極めて濃密だ。そんなタイトなスケジュールの中で挑戦する富士24時間レースについて、高橋氏は「正直辛いです。辛いけど、面白い」と語る。
筆者が取材した「トヨタ テクニカルセンター 下山」では、今回の富士24時間レースに参戦している「GRヤリス M-コンセプト」の実験車両が、第三周回路(通称:カントリー路)を走行している様子を確認。富士24時間レースも含めた入念なテストが行われていることがわかった。
こうした24時間レースへの挑戦は、単なる耐久テストではなく、「人間の耐久の場でもある」と高橋氏は言う。過酷な環境の中で、エンジニアやメカニックが一丸となり、車両と人間の限界に挑む。その経験こそが、より良いクルマづくりと人材育成につながっている。
そして、GR GTの開発もまた、こうしたモータースポーツ活動の延長線上にある。GR GTは、レースで培った技術やノウハウを結集し、新たなスポーツカーの可能性を追求するプロジェクトだ。その真の意味は、単なる量産車の開発ではなく、モータースポーツを通じて得た知見を市販車にフィードバックし、トヨタ全体のクルマづくりを進化させることにある。



