東京都は、2025年に向けた観光需要の増加を見据え、第5世代移動通信システム(5G)を活用した観光DX(デジタルトランスフォーメーション)の実証実験を都内複数エリアで開始した。この取り組みは、観光客の満足度向上と地域経済の活性化を目的としており、2025年以降の本格運用を視野に入れている。
5G×ARナビゲーションで新たな観光体験
実証実験の目玉の一つが、拡張現実(AR)技術と5Gの高速・大容量通信を組み合わせたナビゲーションサービスだ。例えば、浅草寺やスカイツリーなどの有名観光地で、スマートフォンのカメラをかざすと、過去の風景や建物の内部構造がARで表示される。これにより、観光客はより深く歴史や文化を理解できる。都の担当者は「5Gの低遅延特性により、ARコンテンツがスムーズに表示され、没入感のある体験を提供できる」と説明する。
多言語同時通訳で言語の壁を解消
訪日外国人観光客の増加に対応するため、AIを活用した多言語同時通訳システムも試験導入される。このシステムは、5Gネットワークを介してクラウド上のAIエンジンと連携し、リアルタイムで音声を翻訳。英語、中国語、韓国語など主要言語に対応し、観光案内所や飲食店でのスムーズなコミュニケーションを実現する。実証実験では、翻訳精度の検証とともに、ユーザーインターフェースの改善が行われる。
混雑可視化で快適な観光をサポート
5Gの高精度位置情報技術を活用した混雑状況の可視化サービスも提供される。観光客はスマートフォンアプリでリアルタイムの混雑マップを確認でき、混雑を避けたルートを選択できる。これにより、観光地の過密緩和と感染症対策にも貢献する。東京都は「観光客の分散化により、地域全体の収益向上につなげたい」と意気込む。
実証実験のスケジュールと参加企業
実証実験は2024年10月から2025年3月まで、新宿、渋谷、浅草、お台場の4エリアで実施される。参加企業はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手通信キャリアに加え、観光関連のスタートアップ企業など約20社。各社が提案するソリューションを実際の観光客が利用し、その効果を検証する。
2025年の観光需要増を見据えて
東京都は、2025年に開催される大阪・関西万博や、2025年からの訪日外国人旅行者数目標(6000万人)を見据え、観光DXの推進を急いでいる。今回の実証実験で得られた知見を基に、2025年度中に都内主要観光地への5Gインフラ整備を完了させる計画だ。都の担当者は「5Gは観光業の競争力強化に不可欠。この実証実験を成功させ、東京の観光を次のステージへ引き上げたい」と述べている。



