米テュレーン大学とハーバード大学の研究チームは、コーヒーを飲む時間帯によって健康効果が異なることを明らかにした論文「Coffee drinking timing and mortality in US adults」を医学誌「European Heart Journal」で発表した。この研究は、米国全国健康栄養調査(NHANES)に参加した4万725人の成人を対象に、コーヒー摂取のタイミングを分析したものだ。
午前中にコーヒーを飲む人は死亡リスクが有意に低下
研究チームは、参加者のコーヒー摂取パターンを、午前中(午前4時から午前11時59分)に飲む「朝型」、朝・昼・晩と分散して飲む「終日型」、そしてコーヒーを飲まないグループに分類した。その結果、全体の約36%が朝型、14%が終日型に分類され、残りの約半数はコーヒーを飲まないグループだった。
参加者の健康状態を約10年間追跡したところ、朝型の人はコーヒーを全く飲まない人と比べて、全死亡リスクが16%低く、心臓病や脳卒中などの心血管疾患による死亡リスクは31%も低いことがわかった。一方、終日型のグループでは、これらの死亡リスクの有意な低下は確認されなかった。
カフェイン量や食事内容を調整しても結果は変わらず
この結果は、カフェイン摂取量やカフェイン入り飲料の摂取量をさらに調整しても変わらなかった。つまり、コーヒーの健康効果は単に摂取量だけでなく、飲むタイミングが重要であることを示唆している。
さらに、コーヒーの摂取量と健康効果の関係も、飲むタイミングに左右されることがわかった。朝型のグループでは、飲む量が多いほど死亡リスクが低下する傾向が見られた(最もリスクが低かったのは1日2~3杯程度)。一方、終日型のグループでは、いくら量を増やしても死亡リスクの低下にはつながらなかった。
なぜ時間帯で差が生じるのか?研究チームは2つの仮説を提示
研究チームは、なぜ飲む時間帯によってこれほどの差が生じるのかについて、2つの仮説を立てている。1つ目は、午後や夜間のコーヒー摂取が体内時計(概日リズム)を乱すという仮説だ。遅い時間にカフェインをとると、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌が抑制され、結果として血圧や体内の酸化ストレスに悪影響を及ぼす可能性がある。
2つ目は、コーヒーの持つ抗炎症作用と生体リズムの相性である。人間の体は、朝のタイミングで体内の炎症マーカーが高くなるリズムを持っている。そのため、この時間帯に合わせてコーヒーの成分を取り入れることが、炎症を抑える上で理にかなっているのではないかと考えられている。
研究チームは「今回の研究は、コーヒー摂取のタイミングが健康に重要な影響を与える可能性を示している。今後の研究で、これらのメカニズムをさらに解明する必要がある」と述べている。



