5G商用化競争が本格化
2020年、日本でもようやく5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスが開始された。世界に目を向ければ、韓国や米国、中国などが先行して5Gを導入しており、日本の後れが懸念されていた。しかし、2025年までに全国の人口カバー率を90%以上にするという政府目標のもと、各キャリアは基地局の整備を急いでいる。
NTTドコモは2020年3月に5Gサービスを開始し、2021年度末までに全国約5000局の基地局を設置する計画だ。KDDI(au)も同様に2020年3月からサービスを提供し、2022年度までに約1万局の基地局を整備する。ソフトバンクは2020年6月からサービスを開始し、2022年度末までに約1万局の基地局設置を目指す。楽天モバイルも2020年9月に5Gサービスを開始し、独自の仮想化技術を活用した低コストなネットワーク構築を進めている。
日本企業の競争力強化に向けた取り組み
日本企業は5Gを単なる高速通信だけでなく、産業応用の鍵として捉えている。特に、自動運転、遠隔医療、スマート工場など、さまざまな分野での活用が期待されている。例えば、NTTドコモはトヨタ自動車と連携し、5Gを活用した自動運転技術の実証実験を進めている。KDDIは、建設現場での遠隔操作やドローン制御に5Gを活用するプロジェクトを推進している。
一方で、課題も多い。5G基地局の建設コストは4Gの約1.5倍とされ、各社の設備投資負担は大きい。また、周波数帯の割り当てや、既存の4Gとの共存、さらにはセキュリティ対策なども重要な課題だ。政府は2020年度補正予算で5G関連の研究開発や基地局整備に対する補助金を計上し、民間企業の取り組みを後押ししている。
グローバル競争における日本の立ち位置
世界の5G市場では、中国の華為技術(ファーウェイ)や韓国のサムスン電子、フィンランドのノキア、スウェーデンのエリクソンなどが主要ベンダーとして競争している。日本勢では、NECや富士通が基地局機器の開発で存在感を示しているが、市場シェアは限定的だ。
総務省の有識者会議は2020年7月、5Gの普及促進に向けた中間報告を公表し、2025年までに全国の人口カバー率を90%以上にする目標を掲げた。また、2023年までに5G対応スマートフォンの出荷台数を全出荷の50%以上にする目標も示された。これらの目標達成には、キャリア間の連携や政府の継続的な支援が不可欠だ。
今後の展望と課題解決の方向性
5Gの本格的な普及には、キラーコンテンツの登場が欠かせない。現時点では、5Gならではの体験を提供するサービスは限られているが、エンターテインメントやゲーム、スポーツ中継などでの活用が期待される。また、企業向けには、5Gの低遅延特性を活かした遠隔制御や、多数同時接続を活かしたIoT(モノのインターネット)の拡大が見込まれる。
課題として、5G対応端末の価格が高額であることや、サービスエリアが限定的であることが挙げられる。現在、5G対応スマートフォンの価格は10万円を超える機種が多く、普及の障壁となっている。また、2020年時点での5Gエリアは都市部に限られており、地方での利用は難しい。
NTTドコモの担当者は「5Gの真価は、産業分野での活用で発揮される。今後は、自治体や企業との協業を強化し、社会課題の解決につながるサービスを展開していく」と述べている。



