5G基地局整備の新たな課題、都市部と地方の格差拡大
5G基地局整備、都市と地方の格差拡大

第5世代移動通信システム(5G)の基地局整備が全国で進む中、都市部と地方の間でサービス利用可能エリアに大きな格差が生じていることが、総務省の最新調査で明らかになった。2023年度末時点で、人口カバー率は東京23区で95%を超える一方、人口密度の低い地方部では50%未満の市町村が複数存在する。

総務省調査が示す現状

総務省が2024年3月に公表した「電気通信事業分野における競争状況の評価」によると、全国の5G基地局設置数は約10万局に達したが、その約6割が三大都市圏に集中。地方では基地局の設置コストや需要の少なさが課題となり、整備が遅れている。

同調査では、人口カバー率が50%未満の市町村は全国で約200に上り、その多くが過疎地域に該当する。総務省の担当者は「5Gは高速大容量通信の基盤であり、地域間格差の是正が急務」と指摘する。

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通信事業者の取り組みと課題

大手通信事業者各社は、政府の補助金を活用しながら地方での基地局整備を進めている。NTTドコモは2025年度までに全国の有人島を含むエリアをカバーする計画を発表。KDDIも地方自治体と連携し、公共施設への基地局設置を進める。

しかし、地方での基地局設置には、電源確保や光ファイバー回線の敷設など、都市部以上のコストがかかる。ある通信事業者の技術責任者は「人口密度が低い地域では投資回収が難しく、国の支援なしには整備が進まない」と語る。

経済波及効果と地域活性化

5Gの普及は、遠隔医療やスマート農業、自動運転など、地方活性化に直結する技術の実現に不可欠だ。総務省の試算では、5Gによる経済波及効果は2030年までに年間約50兆円に上るとされ、その恩恵を地方が受けるためには早期のインフラ整備が求められる。

一方で、専門家からは「単なる基地局整備だけでなく、アプリケーションの開発や人材育成も並行して進めるべき」との声も上がる。情報通信総合研究所の主任研究員は「5Gの真価は、それを活用したサービスがどれだけ地域課題を解決できるかにかかっている」と指摘する。

今後の展望と政策課題

政府は2024年度補正予算で、地方の5G基地局整備に対する補助金を拡充する方針。総務省は2025年度までに全国の有人島を含むエリアの人口カバー率を90%以上にする目標を掲げている。

しかし、人口減少が進む地域では、基地局の維持管理費も課題となる。今後は、低軌道衛星通信との連携や、省電力型の基地局技術の開発など、新たなソリューションの導入が期待される。

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