プロ野球独立リーグ・日本海リーグの「富山GRNサンダーバーズ」は、今年20年目のシーズンを迎えている。選手らは「いつかはNPB(日本野球機構)の大舞台に」と夢を追い、泥臭いプレーを続けている。その姿に胸を打たれ、チームを支える人たちを追った。
NPBへファン一丸
スタンドのファンから「チャンスはここだぞ!」と、声が上がる。8月15日、富山市民球場で行われた日本海リーグ公式戦、「石川ミリオンスターズ」との一戦。2―2で迎えた八回裏、一死満塁の好機にスタンドの約20人が「サンダーバーズ、ワッショイ」と民謡「こきりこ」をモチーフにした応援歌を熱唱する。
5番・玉生貴一選手(23)が甘く入った直球を振り抜き、走者2人が生還すると、ファンらは喜びを爆発させた。
「生きがい」
サンダーバーズファンは、熱い。雨が降り、試合が長引いても、スタンドを離れない。
2022年頃から応援している石川県内灘町の会社員、北川仁也(まさや)さん(55)もそんなファンの一人だ。約4年間、北陸や関西で行われる年間約40回のリーグ戦にほぼ毎試合足を運び、戦評などをブログに書き込む。「張り詰めた気持ちで打席に入ったが、見事な初回タイムリーで気概を見せた」などと1戦ごとに印象的なプレーやチームの課題について記している。
選手も注目しており、南慶二朗投手(23)は「プレーだけでなく、マウンドでの立ち振る舞いも見てくれている」と話す。
ファンの心を引きつけるのは、NPB入りを目指し、はい上がろうとする選手らの全身全霊のプレーだ。選手の多くは、高卒や大卒でNPBのドラフトに指名されなかった人たちだ。NPB球団から戦力外通告を受け、入団した人もいる。
北川さんは「NPB入りを全力で目指す選手たちの努力や向上心が詰まったプレーを見られる」と熱弁をふるう。
打率や盗塁数など公式戦で目立つ数字をあげれば、自然とスカウトの目に留まる。1球投げるごとに雄たけびを上げる投手。フライを打ち上げても、相手の失策を想定し、二塁まで全力疾走する。打ち上がったファウル球を捕球しようとぎりぎりまで追いかける。
そんな選手の姿にファンは、自分の人生を重ねる。北川さんは「野球人生をかけてプレーする姿を間近でみられるのは貴重。自分にとっても生きがいだ」と語る。
存在証明
試合後、選手らは球場の外に出て、帰宅する観客にあいさつする。「来てくれて、本当にありがとうございました」「次はもっとがんばります」
もがき続ける選手たちにとって、変わらず応援してくれるファンの姿は、自らの存在証明でもある。関口赤彗星(しゃあ)捕手(20)は、まっすぐなまなざしで語る。「県内での試合数も限られている中、足を運んでくれる方々は本当にありがたい。うまくいかなくても、次の試合も頑張ろうと、自然と前を向ける」
チーム名県鳥に由来
チーム名の「サンダーバーズ」は、県鳥として親しまれているライチョウ(雷鳥)に由来する。選手たちが「雷」のように、また、縄張りに侵入したライバルを追い払うライチョウのように力強くプレーし、球団だけでなく、県全体が羽ばたいてほしいという思いが込められている。



