第108回全国高校野球選手権大会に、女性審判5人が臨んだ。春夏の甲子園大会で女性が審判を務めるのは初めて。5人は重責を感じつつ、大舞台に立つ感動や、時には苦い思いもかみ締めた。
開幕戦で先陣を切った森田さん、安堵の涙
病院事務員の松本京子さん(47)は6日の第2試合で二塁塁審を務めた。2009年に審判となって国際大会の経験もあるが、「誰もが立ちたい場所。全てがキラキラして見えた」。普段は緊張で足が震えるタイプだが「今日は震えなかった」と笑顔を見せた。
試合後、涙を流した人もいる。「絶対に失敗できないという思いだけだった。無事に終え、ほっとした」。5日の開幕試合で二塁塁審として5人で最初にグラウンドに立った森田真紀さん(49)は、安堵の涙が頬を伝った。中学教員として働く2児の母は「いいスタートを切れた。あとに続く人が私よりいいジャッジをしてほしい」と願った。
ほろ苦デビュー、判定覆り悔し涙
ほろ苦いデビューとなったのは、7日の第3試合で二塁塁審だった中学教員の佐藤加奈さん(39)。六回無死一塁、打球を処理した三塁手の送球を二塁で受けた遊撃手が直後にこぼした。佐藤さんはアウトと判定したが、審判団で協議した結果、「完全に確保できていなかった」としてセーフとなった。佐藤さんは「捕球の確認が最後までできていなかった。判定を変えてほしいと自分でお願いした」と明かし、「甲子園は選手にとって怖い場所ともいうが、審判も変わらない」と悔し涙がこぼれた。
看護師と会社員が同時出場、ビデオ検証も
続く第4試合では看護師の岩男香澄さん(33)が二塁塁審、会社員の和田佳奈さん(29)が右翼外審で同時に出場。岩男さんはタッチプレーを巡るセーフ判定に、今大会で導入されたビデオ検証が要求された。判定通りとの結果に「ドキドキしたが、正しい判定で試合が進むのはいいこと」と語った。
一方、アルプス席の応援の迫力を間近で感じた和田さんは「周りの声も聞こえない。動きを見ながら頑張るしかないなと思った」と難しさを振り返った。
球審の夢、女性審判は12試合で登場
5人の多くが最初に二塁塁審を任された。日本高校野球連盟の尾崎泰輔・審判規則委員長は「一、三塁の塁審がフォローして負担を減らせる」と理由を説明する。11日で割り当てられた試合が終わり、23試合のうち女性審判は12試合に登場。球審を務めた女性はおらず、和田さんは「いつか球審をやってみたい」と夢を膨らませた。



