愛知・名古屋アジア大会が19日に開幕する。1994年の広島大会以来、夏季では32年ぶりに日本で開催されるスポーツの祭典で、2028年ロサンゼルス五輪に向けた重要な大会でもある。レスリング女子の藤波朱理選手(22)は、パリ五輪金メダル獲得後、目標の一つに掲げてきた今大会での優勝に挑む。
地元・愛知での大会に意気込み
三重県四日市市出身の藤波選手は、地域的なつながりの強い愛知県に「地元」という感覚を持っている。「ずっと楽しみにしていた大会」と語り、身近な人たちに自身のレスリングを見てもらえるのを心待ちにしている。
2年前のパリ五輪では53キロ級だったが、現在は一つ上の57キロ級に階級を上げた。以前から減量に限界を感じており、昨年12月の天皇杯全日本選手権も57キロ級で戦った。
階級変更と重圧を乗り越えて
その決勝では苦戦を強いられた。フォール寸前の体勢に持ち込まれ、第1ピリオドはリードを許したが、第2ピリオドで逆転して優勝。思わず安堵の涙が流れた。
苦戦の理由は、階級が上がってよりパワーのある相手と対戦したからだけではない。中学2年から公式戦では負けなし。勝つことが当たり前だと思われることは、想像を絶する重圧となっていた。「全部背負おうと思う時があった。やっぱりそれじゃきつくて……」と振り返る。
立ち返ったのは「自分はレスリングが楽しくてやっている」という純粋な思いだった。心境の変化は充実した試合内容にも表れた。5月の明治杯全日本選抜選手権では、大会前に左膝を負傷したにもかかわらず、全3試合で相手に1ポイントも与えない圧倒的な強さで優勝し、アジア大会代表に内定した。
連勝記録とロサンゼルス五輪へ
今大会は階級変更後、初めて出場する年齢制限のない国際大会となる。「57キロ級は中国、インド、モンゴルなど強い選手がアジアに集まっている」と言うように、厳しい戦いになることは予想している。153まで伸ばしている連勝記録の行く末にも周囲の関心は注がれる。
「そこ(記録)を注目してもらえることはすごくうれしいが、結果的にそうなっているだけ。私はそんなに意識していない」。目の前の試合に全力を注ぎ、強敵たちをなぎ倒して頂点に立てば、記録は続く。そして何より、もう一つの目標である2年後のロサンゼルス五輪での金メダルへ弾みがつく。
開会式では日本選手団の旗手を務め、閉会式前日に試合が控えている。「もちろん優勝をして締めくくりたいが、それ以上に悔いのないような、思い描いているレスリングをして終えたい」。藤波に始まり、藤波に終わる大会にできるか。
大会日程と藤波選手の試合予定
レスリングは五輪同様、男子フリースタイル、男子グレコローマン、女子で各6階級、計18階級を実施。9月30日~10月3日に名古屋市稲永スポーツセンターで行われる。藤波選手が出場する女子57キロ級は10月3日に初戦から決勝までが予定されている。



