サッカー日本代表のFW小川航基(29)がJ1・FC町田ゼルビアに加わる。初出場したワールドカップ(W杯)北中米大会で活躍したストライカーの加入は、町田にとって単なる戦力補強以上の意味がある。
W杯での活躍と獲得の経緯
2023年に横浜FCからオランダのNECに加わった小川。W杯1次リーグ初戦のオランダ戦では、途中出場から終了間際にヘディングシュートを放ち、鎌田大地の劇的な同点弾につなげた。外国人に当たり負けしない186センチの得点力は本場でも評価を受けており、本人は欧州でキャリアを続ける意向もあったという。獲得のハードルは高かった。
それでも、町田は初のリーグ優勝に向けて必要なピースだと説得を続けた。関係者によると、町田は昨夏から1年間にわたってアプローチしてきた。年俸約4億円という国内最高レベルの待遇も用意し、獲得の本気度を示したという。
「Jリーグの流れを変える移籍」への思い
ただチームを強くするためだけではない。クラブ幹部は「口幅ったいけども」と前置きしつつ、「Jリーグの流れを変える移籍になれば」という思いもあったと明かす。
近年、有力選手が相次いで欧州移籍するJリーグは、欧州リーグの「下」という位置づけで語られる。日本代表の森保一監督は、イングランドやスペインなどの「欧州5大リーグ」でプレーしていることを、W杯の代表選考の目安の一つに挙げていた。実際、Jリーグから北中米大会に出た日本代表のフィールドプレーヤーは、長友佑都(FC東京)1人だけだった。
人材流出が続けば、魅力あるリーグにはなれない。そうした流れを変え、JリーグからW杯につながる道を作る。そんな狙いもあって、町田は小川と複数年契約を結んだという。
クラブ幹部は「(Jリーグが)劣っていると見られている現状を変えないと。リーグにとっても意義深い移籍になったと思う」と語る。
町田の環境と今後の展望
町田は4月、初出場のアジア・チャンピオンズリーグ・エリートで準優勝を果たした。チームには代表経験者の相馬勇紀や中山雄太らもいて、ピッチ内の競技レベルは国内トップクラスの高さを誇る。代表の基準を知る者に囲まれ、日々を過ごせる環境が整っている。
そんなクラブで活躍を続け、日本代表でも結果を残せたら――。3年ぶりの国内復帰となる小川が、2度目のW杯出場をつかむチャンスは生まれるだろう。
ブラジル戦のあと、「さらに成長していかなきゃいけない」と4年後へのリベンジを誓っていたFWが、脂ののった状態でJリーグに戻ってくる意味は小さくない。今回の移籍は町田だけでなく、日本サッカー界にとっても一つの転機になりうる。



