森保監督が日本代表を「優勝できるチーム」に変えたマネジメント術の真髄
森保監督が日本代表を優勝できるチームに変えたマネジメント術

サッカー日本代表が2026年ワールドカップで躍動している。オランダ戦では2度追いついて引き分け(2-2)、チュニジア戦では4-0で快勝した。この背景には、森保一監督(57歳)のマネジメント力の変貌がある。サッカージャーナリストの藤江直人氏は「選手から『この人のために勝ちたい』と慕われる森保監督のマネジメント力の変化が、選手の成長を促している」と指摘する。一方で、W杯開幕直前には前主将・遠藤航を外す非情な決断も下した。情に厚いのに、情に流されない森保監督の凄みとは。

「指揮する人」から「任せる人」へ:マネジメントの転換

森保監督は2大会連続で日本代表を指揮するにあたり、マンネリ防止のためにコーチ陣を大幅に刷新した。藤江氏は「一番怖いのはマンネリです。そうならないために、2期目、コーチ陣をがらりと変えたんです」と説明する。名波浩コーチ、前田遼一コーチ、長谷部誠コーチ、そして中村俊輔コーチを加え、練習現場をコーチに任せる分担制を導入。森保監督は全体を見渡すマネジメントに徹している。

この変化は、従来の指揮命令型リーダーシップから「ファシリテーション型リーダーシップ」への移行といえる。監督中心の組織から、コーチ陣と選手が知識を共有する分散型組織へ転換。信頼構築をベースに選手の主体性を引き出しながら目標達成へ導く手法だ。新コーチ陣は全員が日本代表経験者で、多くは海外クラブでのプレー経験を持つ。

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海外組23人が生んだ「ビビらない日本代表」

今回のW杯登録枠26人中23人が海外クラブ所属。初戦のオランダ戦、2戦目のチュニジア戦でプレーした全選手が海外組だった。藤江氏は「森保さんがよく言うのは、海外組は“普段から非日常でプレーしている”ということです。大舞台のピンチでも選手は動じない。まったく、ビビらないんです」と語る。

オランダ戦では先行されても追いつき、2点目を奪われても同点に持ち込んだ。2025年10月の国際親善試合では、ブラジル代表に前半2点を先行されながら、3-2で歴史的逆転勝利を収めた。藤江氏は「堂安(律)たちが主体性を持って、後半、ブラジルと殴り合いにいって、3点とった」と振り返る。

情に厚い監督が下した非情な決断:遠藤航を外す

森保監督は選手から慕われる情の厚い人物だが、W杯開幕直前には前主将・遠藤航を外す非情な決断を下した。藤江氏は「情に厚いのに、情に流されない監督の凄み」と評価する。この決断は、チームの活性化と競争原理を重視したものだ。

森保監督自身も「ドーハの悲劇」で「下を向くな」の意味を知ったという。1993年のW杯予選で、日本がロストフ・アタックで逆転負けした経験が、彼の指導哲学に影響を与えている。

ファン、メディアへの感謝を忘れない“黒子”

森保監督は常にファンやメディアへの感謝を忘れず、自身を“黒子”と称する。クロアチア戦後には「最高の景色」と叫び、チームの結束を強調した。かつて「石橋をたたいても渡らない監督」と言われたが、今では積極的な采配でチームを牽引している。

日本代表はW杯でさらなる躍進を目指す。森保監督のマネジメントの進化が、チームを「優勝できるチーム」へと変えた。藤江氏は「いざ最高の景色を。みんなで。」と締めくくる。

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