黒川和樹、恩師の電話で3年ぶり代表復帰 アジア大会で笑顔
黒川和樹、恩師の電話で3年ぶり代表復帰 アジア大会

9月に行われた愛知・名古屋アジア大会(読売新聞社協賛)の陸上男子400メートル障害で、2021年東京五輪代表の黒川和樹(住友電工)が3年ぶりに日本代表へ返り咲いた。近年は故障の連続で不振を極めたハードラーを復活へと導いたのは、恩師からの一本の電話だった。

恩師からの電話が転機に

25年6月17日、携帯電話の着信画面に表示されたのは、大学時代から現在も指導を仰ぐ苅部俊二・法大監督の名前だった。電話を取ると、普段と変わらない柔らかな調子で告げられた。「そろそろ練習においで」

その直前、パリ五輪代表選考会を兼ねた24年日本選手権を右太もも裏の肉離れで欠場したのに続き、この年の日本選手権もケガの再発で出場を諦め、世界選手権東京大会出場を逃していた。当時は拠点とする母校のグラウンドから遠ざかり、自宅に引きこもっていた中、電話が来た日は黒川にとって24歳の誕生日。タイミングを見計らったような呼びかけに、「苅部さんに言われたら一回は行かないとな」と重い腰を上げた。

復活への道のり

仲間や後輩に温かく迎えられて練習を再開し、改めて走ることの喜びをかみ締めると、今季は3年ぶりに自己ベストを更新。現役時代の苅部氏に0・01秒差まで迫る48秒35まで記録を伸ばした。6月の日本選手権では17歳の新星・後藤大樹(京都・洛南高)に敗れたものの、2位でアジア大会切符をつかみ、前回杭州大会以来の代表入りを決めた。

実は苅部氏に後日電話の真意を尋ねると、「誕生日だったんだ!」と驚かれ、他意はなかったというオチが付いた。それでも、再起への一歩を後押しした巡り合わせに心から感謝する。

アジア大会での結果と今後

アジア大会は6位に終わったが、「ジャパンのユニホームを着て走れることが、すごく幸せ」と笑顔を見せた。銀メダルに輝いた後藤に負けじと、日本の「ヨンパー」をさらに盛り上げるつもりだ。