Jリーグ基準、自治体に重荷 秋田は新設方針も資金課題
Jリーグ基準、自治体に重荷 秋田は新設方針も資金課題

「秋春制」に移行し、8月に開幕したサッカー・Jリーグでは、スタジアムの新設やその計画が相次いでいる。ただ、クラブ単独での整備が難しく、整備主体として地方自治体に期待が集まる。巨額の税金を投じることになるため、各地で議論も起きている。

秋田県では約10年にわたり議論

秋田県では、J2・ブラウブリッツ秋田の本拠地整備を巡る議論が約10年にわたって続いている。クラブは2017年、J3(当時)で優勝しながらも、J2昇格を逃した。Jリーグのスタジアム基準を満たさなかったことが理由だった。

基準ではJ2が「1万人以上」、J1は「1万5000人以上」などの要件を満たすことを求める。当時のスタジアムは約5000人だった。その後、収容数を満たした本拠地に移ったが、屋根の大きさなどの設備が基準を満たしておらず、将来の整備を条件にJ2やJ1のライセンスを取得した。ただ、ライセンスを維持するために議論は続き、計画が二転三転した経緯もあり、「いつまでJリーグのライセンスに自治体が振り回されるのか」と秋田市の沼谷純市長が苦言を呈したこともあった。

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新設の基本方針、費用は上限142億円

今年7月に秋田県、秋田市、クラブの3者が合意した新設の基本方針では、収容人数は5000人~1万人の範囲、整備費用は上限142億円などとする。課題は整備費用で、国の交付金などを除いた半額を民間資金で賄う方針だ。企業から多額の寄付を募るには、県と市が行う企業版ふるさと納税が鍵だが、受け付け開始は年末から年明けになる可能性が高く、資金の見通しが立つまでには時間がかかりそうだ。

基準は欧州を手本に1993年開幕時に設定

リーグによると、1万5000人の基準は1993年の開幕時、欧州のスタジアム規模などを手本に設けられた。リーグは「海外を参考にプロとしての最低規模と考えられたと思う」と説明する。基準が整備の足かせになることはリーグも認識しており、2024年シーズンからは一定の基準を満たし、ホームタウンの人口や観客席の将来的な増設の可能性などを踏まえ、5000人規模でも基準を満たしたと認める特例措置を設けた。

整備資金の調達が課題となるのは秋田だけではない。J3・鹿児島ユナイテッドFCでは、鹿児島市が中心となって議論が進み、整備候補地を選定し次第、費用負担を検討していく。J2・モンテディオ山形では、建設費の約3分の1を負担する企業が計画から離脱し、クラブが不動産開発大手の子会社となる形で新たな支援を取り付けた。また、昨季J1に昇格した水戸ホーリーホックのように、基準を満たせるスタジアムに本拠地を移した事例もある。

民間で整備したFC今治の例

各クラブが試行錯誤する中、整備費を抑えて民間で整備したのが、J2・FC今治の「アシックス里山スタジアム」だ。愛媛県今治市から土地の無償貸与を受けた上で、収容人数を約5300人として整備費を約40億円に抑え、国の補助金を除く全額を企業版ふるさと納税を含む民間資金で賄った。

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一方で、ピッチやスタンド周辺にスペースを設け、当時は必須だった1万5000人まで段階的に拡張できるようにした。その後、特例措置の導入でJ1ライセンスを取得。1万5000人を目指す必要はなくなったが、最近の観客増を受けて約3500席を増設、7月に完成した。地元自治体に資金を出す余裕がない中、今治市内に多い海事関係の会社などの協力を得たことが大きかったという。クラブの運営会社「今治.夢スポーツ」の矢野将文社長(50)は「土地ごとの特色を生かして課題を乗り越えていくことが必要だ」と話す。