上地結衣、ラケット変更の英断が生んだ生涯ゴールデンスラム達成
上地結衣、ラケット変更の英断が生んだ生涯ゴールデンスラム

車いすテニスの上地結衣(32歳、三井住友銀行)が11日、ウィンブルドン選手権女子シングルス決勝でディーデ・デフロートを下し初優勝。4大大会とパラリンピックを全て制する「生涯ゴールデンスラム」を達成した。史上4人目の快挙である。

不安を抱えて臨んだウィンブルドン

ロンドンに出発する前、上地は珍しく不安を漏らしていた。「難しい時期を過ごしているのが正直なところです」。春先から絶好調とは言えず、試行錯誤や葛藤の日々が続いていた。

赤いラケットを手放した決断

上地のトレードマークだった鮮やかな赤いラケットは、今大会では使われなかった。代わりに握っていたのは黒いラケット。この変更は、昨年からのスランプを打破するための英断だった。上地は「赤いラケットは自分にとって特別だったが、プレーの安定性を求めて変える必要があった」と語る。

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ラケット変更は単なる道具の変更ではなく、スイング軌道や打球感覚の根本的な見直しを伴った。コーチと共にフォームを微調整し、新しいラケットに合わせたプレースタイルを構築。練習では何度も壁にぶつかりながらも、徐々に手応えをつかんでいった。

決勝戦のドラマ

決勝の相手は、長年ライバル関係にあるデフロート。過去の対戦成績では上地がリードするものの、芝コートでのデフロートは強力だった。第1セットは互角の展開から上地が先取。第2セットはデフロートの粘りに遭うが、上地は冷静にポイントを重ね、6-4、6-3で勝利した。

試合後、上地は「ここまで来るのに多くのサポートがあった。感謝の気持ちでいっぱいです」と涙をぬぐった。デフロートも「彼女の勝利に値するプレーだった」と称賛を惜しまなかった。

偉業の裏にある努力

上地はこれまで全仏オープン、全米オープン、全豪オープンで優勝し、パラリンピックでも金メダルを獲得。唯一欠けていたウィンブルドンのタイトルを手にし、キャリアグランドスラムを達成した。ラケット変更というリスクを伴う決断が、結果的に偉業を引き寄せたと言える。

専門家は「上地の判断力と適応力は驚異的。彼女のテニスは常に進化している」と評価する。一方、上地自身は「まだまだ向上できる。次の目標に向かって頑張りたい」と早くも前を向く。

今後の展望

生涯ゴールデンスラムを達成した上地だが、すでに次のシーズンを見据えている。新しいラケットへの完全適応と、さらなる技術向上を目指し、練習に励む日々が続く。車いすテニス界のレジェンドとして、その挑戦は終わらない。

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