第108回全国高校野球選手権大会第10日の14日、鳴門渦潮は霞ヶ浦(茨城)に1―5で敗れ、2回戦で姿を消した。三回までに5点を失う苦しい展開となり、四回に林蒼太選手の適時二塁打で1点を返したが、その後は好機を生かせなかった。最後まで諦めなかった選手たちに、スタンドからは温かい拍手が送られた。
序盤の失点が響く
三回に集中打を浴び、一挙4失点。点差は5に広がり、淡々と投げてきた西村大輝投手の表情には焦りがにじんでいた。
ただ、諦めるわけにはいかない。「0―0の気持ちで、これ以降は点を取られないんだと吹っ切れた」。甘く入った直球を痛打された反省を生かし、変化球を増やした。丁寧に低めに集めて凡打の山を築き、四回以降はわずか被安打1。本来の姿を取り戻し、味方の援護を待った。
エースの意地
「後半にかけて気持ちが乗ってくるタイプ」と自らを評する背番号1。八王子実践との1回戦は、延長10回を1人で投げ抜き、終盤に140キロ台を連発していた。この日も「疲労は言い訳になる。信頼してマウンドに上げてもらったからには、自分の力を出すだけ」と右腕を振り続けた。
指名打者制を使わず、自らも3番に座った打線は、何度も好機を作ったものの、及ばなかった。それでも、森恭仁監督は「点を取られても、心折れずによく投げてくれた。西村のおかげでここまで来られた」とねぎらった。
夏の終わり
西村投手は「1球1球の重さを感じた。最高の舞台で投げることができ、後悔はない」とすがすがしかった。徳島大会からほぼ1人で投げ抜き、この夏計980球を投じたエースの目に、最後まで涙はなかった。



