第108回全国高校野球選手権岩手県大会は14日、きたぎんボールパーク(盛岡市)とJALスタジアム花巻(花巻市)で2回戦6試合が行われた。第1シードの花巻東は盛岡農を10-0(五回コールド)で、第2シードの盛岡大付は盛岡三を4-0でそれぞれ下し、ともに好発進を飾った。15日も2球場で2回戦6試合が予定されている。
花巻東、打線爆発でコールド勝ち
花巻東は初回から打線が爆発。相手エースの奥寺朔真投手(2年)を攻略し、五回までに10点を奪ってコールド勝ちを収めた。奥寺投手は「花巻東の中軸を波に乗せないよう、徹底的に内角を狙ったが、制球が甘くなってしまった。来年は4強や決勝を目指せるよう頑張る」と語った。
盛岡大付、投手戦を制す
盛岡大付は盛岡三との接戦を4-0で制した。盛岡三の先発・及川詠投手(3年)は六回途中まで好投し、強豪打線を相手に一歩も引かない投球を見せた。しかし、八回に盛岡大付が山口の適時打などで加点し、勝利を決めた。盛岡大付の柳葉一路主将(3年)は「大量得点とはならなかったが、チャンスをものにできた。次戦も厳しい展開になることを想定し、全員で必死に勝ち抜きたい」とコメントした。
福岡の応援団、バンカラスタイルで声援
三塁側の福岡のスタンドでは、応援団約20人がえんじ色の旗を振りながら声を張り上げ、生徒や保護者らとともにエールを送った。同校の応援はボロボロの学ランに、げたをはく「バンカラ」スタイルが特徴。試合前には、野球部の健闘を祈り、応援団や3年生有志が同校のある二戸市から球場までの約80キロメートルを歩く「80キロ行軍」を伝統行事としている。今年はクマ対策として、応援団の3年生6人のみが行進し、クマ鈴やスプレーを携帯。夜通し歩き続けていた例年とは異なり、13日朝に二戸市内を出発後、夕方以降は自宅に帰った。14日は、夜間に歩けば到着していたはずの場所に車で移動し、午前9時頃に行軍を再開。同日午後1時頃に球場に到着した。これまでの半分に短縮された約40キロのコースを歩いた大久保時空団長(3年)は「全力で応援するので、選手にはプレーで応えてほしい」と期待した。
父との約束を胸に力投 盛岡三・及川投手
盛岡三の先発・及川詠投手(3年)は、ピンチになってもうつむかないようにと決めていた。「家族に応援してもらえた」からだ。この日は六回途中まで好投し、強豪・盛岡大付打線を相手に一歩も引かない投球を見せた。中学生時代、県大会で準優勝した盛岡三を見て同校野球部に憧れた。だが地元の陸前高田市からは100キロメートル近く離れている。「野球も勉強もがんばりたい」。父・克政さん(49)とそう約束し、下宿生活を始めた。東日本大震災で幼い頃に母を亡くし、父は男手一つで自分を育ててくれた。小中学生時代、父はおにぎりの弁当を作ってくれ、キャッチボールをしたいとせがむと付き合ってくれた。盛岡三に進学してからも変わらなかった。これまでマネジャーが縫ってくれていた背番号を「縫い付けてほしい」と頼んだ。父は片道2時間かけて、陸前高田市から縫い付けるためだけに来てくれた。父は「唯一できる親らしいことだから」と話す。この日、気づけば4点差。チームは2回戦で姿を消した。父との約束を果たすため、地元に残る道を選ばなかった生活への後悔はしていない。



