夏の甲子園、データ分析の専門部員が初戦へ 履正社・井上さんと松商学園・野島さん
データ分析の専門部員が甲子園初戦へ 履正社・井上さんと松商学園・野島さん

第108回全国高校野球選手権大会(甲子園球場)で、データ分析の専門スタッフとして大舞台に臨む部員がいる。履正社(大阪)の井上祝栄(しゅうえい)さん(3年)と、松商学園(長野)の野島康誠(こうせい)さん(2年)は、ともに選手を支える側として11日の初戦に挑む。

プロ野球選手の兄とは別の道

井上さんは履正社が2023年から置く専門部員の一人だ。兄は19年夏に主砲として同校を甲子園初制覇に導いた広大(こうた)選手。ドラフト2位で阪神に入団し、昨オフにロッテに移籍した。投手だった井上さんは昨夏、「兄のようにプロになれるとは限らない。プロ球団でデータ分析の仕事がしたい」と多田晃監督に訴えて転身した。

映像などを基に専用アプリで相手を分析。試合前に主力1人につき5ページに及ぶ資料で、投手が多く投げる球種などをまとめる。

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データが生んだ決勝打

延長に突入した大阪大会準々決勝。履正社には「相手投手は有利なカウントでは直球を多投する」というデータがあった。十回無死満塁、辻竜乃介主将(3年)は投手がどんな球も投げやすい1ボール1ストライクで、狙い通り直球を捉えて3点三塁打を放ち、試合を決めた。辻主将は「データで相手のイメージができ、精神的に試合を優位に進められる」と強調する。

11日の享栄(愛知)戦は記録員としてベンチに入るという井上さんは「兄とは違うアナライザーという立場で、同じ優勝を成し遂げたい」と力を込める。

監督がスカウトした野島さん

松商学園で今年3月に誕生した専門部員が野島さんだ。控え部員らでデータ班を組んできたが、練習の合間の分析は難しさもあった。昨春、学校の寮監だった松宗勝監督が、寮生として入学した野島さんが野球経験者と知ってスカウト。当初、野島さんは「趣味の旅行もしたい。野球は中学まで」と断ったが勧誘を受け続け、1年近く悩んだ末に「高校野球に関われるのは今だけ」と入部した。

練習試合などで打者の打球方向などのデータを蓄積し、専用アプリで分析する。長野大会では打者ごとに大きく守備位置を変え、アウトを奪った場面も。野島さんは「集めた情報が生きた。達成感がある」とやりがいを語り、久保田悟主将(3年)は「野島の存在がなければ今のチームはない」と信頼を寄せる。

今大会は学校で映像を確認して相手を調べ、オンラインで情報共有。11日の三重(三重)戦はアルプス席に駆けつける予定で「自分のデータを生かして勝利につなげてほしい」と願う。

専用アプリが不可欠に

対戦校の分析では、専用アプリが欠かせなくなっている。松商学園が使用するアプリでは、投手の1球ごとのストライク、ボールや、打者の打席結果などを入力。自動的に配球の傾向や打者の打球方向などの特徴をまとめてくれる。

履正社は別のアプリを利用。投手であれば、映像に合わせて球種やコースを入力すると、全投球データを分類し、特定のカウントで投げる球を「外角41%」「スライダー27%」などと十数種類の円グラフにして表示する。多田監督は「アプリの進化が詳細なデータ分析を支えており、その存在はますます重要になってくる」と話している。

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