香川大学初代学長の神原甚造(1884~1954年)が収集し、「神原文庫」として所蔵されている古文書や歴史資料を集めた資料展が、高松市幸町の同大学図書館3階展示室で開かれている。今回のテーマは「埋もれていた貴重書」。鎌倉時代ごろの紙背文書や断簡に焦点を当てた展示が中心で、入場は無料。7月21日まで(土日休室、20日は開室)。
神原文庫の概要と展示の見どころ
神原文庫は、神原が収集した歴史資料約1万2000点、収蔵本約1万6000冊を超える大コレクション。古文書や明治期以降の公文書、書籍、絵画、古地図類など、人文・社会・自然科学から芸術まで幅広い分野を網羅する。神原の没後、遺族が大学に寄贈した。
展示の目玉は、鎌倉幕府の要職に就いた北条実時の孫で、自身も「兵庫頭」などを務めた長井貞秀が、鎌倉・称名寺の僧・釼阿に送った紙背文書。この文書は、釼阿から届いた書状の裏にしたためられ、書き出しは「わざわざ、裏を使って書きます」との内容。さらに「今朝、覚園寺にて六字護摩の法会を行ったとの報告を受け喜んでいる」と記され、貞秀の喜びや、幕府関係者が仏教や信仰とどう関わっていたかを示す貴重な史料となっている。
国宝級の紙背文書が発見された経緯
展示を監修した香川大学の守田逸人教授(日本中世史)が東京大学史料編纂所と共同調査したところ、1885年(明治18年)に同編纂所の前身の機関が、称名寺(横浜市金沢区)の所蔵文書のうち、貞秀の紙背文書などの複製本(影写本)を作成していたことが判明。称名寺所蔵の史料群「金沢文庫文書」は、神奈川県が整理・解読を進め、日本の中世を知る貴重な史料として国宝に指定されている。
国宝級の紙背文書が神原文庫に残されていたことについて、守田教授は「まだ研究者も気づいていない重要な資料がたくさんある。多くの人に関心をもらい、こうした資料を通じて人の生き方、社会のあり方を考える機会を提供したい」と話している。
紙背文書とは
紙背文書とは、不用となった文書の裏面や空白が再利用され、日記や文書、お経などが書かれた際に、裏(紙背)となった元の文書のこと。貴重な紙の再利用は中世では広く行われていた。
問い合わせは香川大学図書館(087-832-1244)。



