2026年7月、中国各地で記録的な豪雨と竜巻が猛威を振るい、甚大な被害が出ている。南部の広西チワン族自治区では台風10号の影響で横州市の六藍ダムが決壊。当局によれば、堤体の2カ所、総延長約50メートルにわたって崩落し、大量の泥水が下流の集落を襲った。建設から66年が経過したこのダムの総貯水容量は約9552万立方メートル。南寧市は洪水緊急対応レベルを最高の「1級」に引き上げ、約4万8000人が避難した。
竜巻と土砂崩れ、各地で相次ぐ人的被害
中部の湖北省では、竜巻を伴う激しい荒天で11人が死亡。北西部の甘粛省では土砂崩れが発生し、21人の死亡が確認された。これらの災害は、老朽化したインフラが気候変動による極端現象に耐えられない実態を浮き彫りにしている。
評論家で千代田区議会議員の白川司氏(新刊『習近平は何を恐れているのか?』著者)は、こうした局地的な災害は中国の脆弱性の一端に過ぎず、その極致が三峡ダムにあると指摘する。「三峡ダムが崩壊した場合、数億人の生活と、中国経済を支える無数の産業拠点が一挙に破壊される」と警鐘を鳴らす。
三峡ダム:国家の誇りが最大の弱点に
三峡ダムは1993年に着工、2009年に完成。湖水面積は約1084平方キロメートルと、琵琶湖の約1.6倍の規模を誇る。かつて清華大学水利系教授の黄万里氏は、三峡ダム建設に反対し、1993年に江沢民ら国家指導者宛ての書状で12の壊滅的結果を予言。その予言は次々と現実化しているという。
黄万里氏は1950年代、三門峡ダム計画に反対して毛沢東から批判され、22年間の強制労働を経験。それでも信念を曲げず、三峡ダムに対しても地質・環境・生態の観点から反対意見を提出し続けた。
「対症療法」に1.7兆円投入も根本解決に至らず
中国政府はダムの安全性向上のため、過去に約1.7兆円を投じたとされるが、白川氏は「対症療法に過ぎない」と批判。黄万里氏の予言のうち、12項目中11項目が現実のものとなったとされる。残る1項目が何かをめぐり、専門家の間で議論が続いている。
もし三峡ダムが敵対勢力のミサイル攻撃を受けた場合、その破壊力は核攻撃に匹敵するとも言われる。人民解放軍は対抗手段を模索するが、ダムの脆弱性は国家存亡のリスクとして浮上している。



