不登校児施設「ここから」存続危機、卒業生がCFで支援 20年の歩み
不登校児施設存続危機、卒業生がCF支援 20年の歩み

2025年春、滋賀県長浜市余呉町にある不登校児向け寄宿施設「子ども自立の郷ウォームアップスクールここから」の理事長・唐子恵子さん(70)は、苦渋の決断を迫られた。これまで100人以上の不登校児を学校や社会へ送り出してきた同施設だが、コロナ禍で運営は縮小。追い打ちをかけるように、築約70年の木造校舎のあちこちで雨漏りが発生し、多額の修繕費が必要となっていた。

資金難で指導員解雇、卒業生がボランティアで継続

運営資金は唐子さんの年金と貯金を取り崩してなんとかしのいでいたが、数百万円に上る修繕費が経営に重くのしかかり、指導員を雇う余裕はなくなった。「お給料を出すことができない」。唐子さんは安藤姫香さん(25)ら2人の指導員に解雇を告げた。卒業生でもある姫香さんの脳裏には「廃校」がよぎったが、「ここからをなくさないで。ボランティアでいいので指導員を続けます」と申し出た。唐子さんはその厚意に甘えた。

卒業生が結集、クラウドファンディングで資金調達

「ここから最大の緊急事態」と感じた姫香さんらの声かけに卒業生が集まり、存続のために知恵を出し合った。そこで出たのがクラウドファンディング(CF)での資金調達だった。CF用のホームページのデザインを考案したのは、20年前に「ここから」初の生徒だった木野良介さん(36)だ。中学から不登校になった木野さんは、高校進学後も教室に向かえず休学。長浜市の適応指導教室で知り合った唐子さんを頼った。他人との会話が苦手だったが、余呉町で暮らし、住民や同じ悩みを持つ生徒たちとの交流をきっかけに、自分から話せるようになった。

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「唐子先生に恩返しがしたい」。悩み苦しんだ学生時代、唐子さんに出会っていなければ今の自分はなかったと木野さんは言い切る。木野さんだけでなく、週末になると「何か手伝うことはないか」と卒業生が次々と顔を見せた。今月は10人以上が集まった日もあった。頼もしくなった教え子たちを前に「これじゃ、どっちが先生かわからないね」と冗談めかす唐子さんの口調は喜びに満ちていた。

校舎からの虹、20年の歩みと新たな決意

校舎1階のカウンセラー室からは余呉の緑が一望できる。6月の梅雨どきの夕方、唐子さんが外をのぞくと大きな虹が空に架かっていた。資金難のピンチは今も続くが、不登校児をなくしたいとの思いは当初から変わらない。「山あり谷ありだったけど、あっという間の20年。これからも一人でも多くの子に雨上がりの希望の虹が架かればいいな」。決意を新たに、唐子さんは21年目に向かう。

「ここから」の運営資金を募るCFは、CAMPFIREで7月末まで実施中。

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