奈良市の新ごみ処理施設、住民説得の鍵は「嫌悪」解消と防災拠点価値
奈良市の新ごみ処理施設、住民説得の鍵は「嫌悪」解消と防災拠点価値

奈良市が建設を計画している新ごみ処理施設(クリーンセンター)を巡り、臭いや収集車の往来といった生活環境への影響や心理的な抵抗感から、「嫌悪施設」というマイナスイメージを抱く住民が少なくない。国内にはこうした懸念を一定解決し、地域活性化に寄与している施設があり、住民を説得するうえでの鍵になりそうだ。

「どこに建ててもご理解いただけない」

5月24日に市自治連合会が市役所で開いた市民説明会で、仲川げん市長は「どこに施設を建てたとしても、なかなかご理解いただけない」と漏らした。仲川市長は市議会6月定例会の一般質問でも「クリーンセンターについては従来の老朽化した古い施設のマイナスイメージを持つ方が比較的多い」と述べていた。

そうした中、近年建設された施設は、地域にとって有益な面が付与されている。名阪国道天理インターチェンジ近くの広域ごみ処理施設「やまとecoクリーンセンター」(天理市岩屋町)と「やまとecoリサイクルセンター」(同市櫟本町)は、2025年5月に稼働した。天理市など県内10市町村でつくる「山辺・県北西部広域環境衛生組合」が運営し、1日最大284トンのごみを焼却したり、資源ごみの分別処理をしたりしている。

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温浴施設とフィットネスが人気

同組合は「ごみを処理するだけでなく、地域の人々が施設を通じて連携し、にぎわいが生まれる拠点として整備した」とする。クレーンでごみを持ち上げる様子などが見学できるコースや展望デッキも備える。クリーンセンター内にある温浴施設とフィットネスエリアは特に人気の施設だ。可燃ごみの焼却で発生する熱を利用して蒸気タービンを回し、発電した電気は施設内で利用。災害時にも電気が使えるため、被災者の入浴支援などができる防災拠点の役割も担える。

建設を巡っては、当初地元から反対の声もあったというが、稼働開始以降は月に1万人以上が利用する施設になった。クリーンセンターの一木康宏所長は「土日には500~600人が来館し、混雑している。想定していた10倍以上だった」と話している。

奈良市は住環境配慮と防災拠点価値を強調

奈良市も新クリーンセンターに関する説明会では、住環境への配慮や防災拠点としての価値を強調している。ダイオキシン類といった排ガスを最新技術で処理し、エアカーテンを使った臭気漏れの防止、ごみを燃やす熱を利用した自家発電設備や避難物資の備蓄倉庫などを整備する方針を示す。最終候補地が決まれば、ごみの収集時間を夜にすることや周辺道路の渋滞緩和策も具体的に検討を進める。

市環境都市推進課の光木修平課長は「嫌悪施設と言われてしまっている現状で、100%の住民合意はあり得ない」と市民感情への理解を示したうえで、「少しでも多くの住民に『できてよかった』と思ってもらえる施設にするため、丁寧な説明を尽くすしかない」と話している。(この連載は吉田清均が担当しました)

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