高野山真言宗の聖地、奥之院(和歌山県高野町)で13日夜、お盆の法要「萬燈供養会」が営まれた。石段の上に立つ燈籠堂は、夜の闇が深まる午後8時、無数の灯籠から放たれる橙色の光で満たされ、僧侶の読経が響いた。
平安時代に始まった供養の歴史
萬燈供養会は832年の夏、弘法大師空海が金剛峯寺の伽藍で灯明をともし、華とともに仏に供えた「萬燈萬華会」が起こりという。年月を経てお盆の行事と合わさり、現在は先祖の御霊を慰め、感謝をささげる法要となっている。
燈籠堂は、空海が瞑想を続けていると伝わる御廟の拝殿にあたる。弟子の真然が建立したとされ、1023年には藤原道長によって現在に近い形に整えられた。
消えずの火と参拝者の祈り
灯籠は全国から奉納された約2万6000基を数え、一角には1000年以上にわたって守り継がれる「消えずの火」もある。その光に照らされ、先祖を迎えに足を運んだ人たちの顔が浮かぶ。
母親の初盆という女性は「会いに来たよ。こっちは元気にやっています」と手を合わせた。
仏の智慧の光が包む
真言宗では、灯明の光は迷いの闇を照らす「仏の智慧」を表す。その光は時代がどう変わっても、亡き人を思い、今に感謝する人々を静かに見守り続ける。



