災害時に在日外国人ら日本語に不慣れな人にも正しい情報をわかりやすく伝えられる「やさしい日本語」が広がってきた。1995年の阪神大震災をきっかけに生まれたもので、文化庁などが旗振り役となり、災害時だけでなくインバウンド(訪日客)向けの案内に使われるなど普及が進んでいる。
「避難して」は「にげて」
「やさしい日本語」は、難しい言葉を短い文にしたり漢字を減らすなどして言い換え、誰にでも分かりやすい文章にしたもの。「避難してください」は「にげてください」、「無料」は「お金はいりません」、「土足厳禁」は「くつをぬいでください」といった表現になる。
阪神大震災の際、地震発生時の緊急速報や避難指示を理解できなかった多くの外国人が被災した。これを機に全国で「やさしい日本語」を作る取り組みが始まった。2020年に文化庁と出入国在留管理庁がガイドラインをまとめ、自治体や民間団体などが普及に努める。主に店舗や公共施設、美術館などの案内板に使われている。
物資配布拠点への誘導に
7月に発生した熊本地震の被災地でも「やさしい日本語」が有効活用されている。県内で被災者支援に当たっている特定非営利活動法人・難民を助ける会(AARJapan、東京都品川区)は、被害を受けた氷川町に8月8日に設置した外国人被災者のための物資配付拠点に、「ものをくばるところ」と書かれたのぼりを立てた。
現地の担当者は「地域に住むインドネシア人ら、のぼりを見た多くの外国人が、配布所に立ち寄ってくれた。ネットに載ったのぼりの写真を見て訪れた人もいた」と話す。
外国人需要の高まり
外国人の間でも「やさしい日本語」の需要は高まっている。普及に取り組む公益財団法人・東京都つながり創世財団が、都内在住の外国人(日本語レベル初級、来日5年以内)を対象に行った調査では、「やさしい日本語で書かれた情報を読みたい」と回答した人が41.3%と、英語(35.9%)や母国語(7.5%)を上回った。通常の日本語を含めると、過半数が日本語による情報提供を希望していた。
同財団の別の調査では「やさしい日本語」の認知度52.3%に対し、「知らないが使いたい」など使用したい意向は74.8%に及び、潜在的な関心の高さが明らかになった。



