「前にも話したと思いますが」「聞いていなかったんですか?」では若手社員の心が崩壊…賢い上司が実践する伝え方
「前にも話したと思いますが」「聞いていなかったんですか?」では若手社員の心が崩壊…賢い上司が実践する伝え方
心理カウンセラーで(有)ヒューマン・ギルド研修部長の永藤かおる氏は、部下へのダメ出しをめぐる伝え方について解説している。日頃から「あなた」を主語にした言い方をされると、若手社員の心は崩壊してしまうという。

「あなたは」が生む反発

「前にも話したと思いますが」「聞いていなかったんですか?」といったフレーズは、主語が省略されていても「あなたは」という「YOUメッセージ」として相手に伝わる。つまり、「あなたはなんでこんなことをしちゃったの?」「前にもお伝えしたと思いますが、あなたは聞いていなかったんですか?」と言っているのと同じだと永藤氏は指摘する。こうした言い方は、「自分自身を否定された」「悪いと決めつけられた」という印象を相手に強く与え、反発したくなってしまう原因になる。

「私」を主語にした伝え方

そこで意識したいのが、「Iメッセージ」、つまり話し手である「私」を主語にした伝え方だ。先ほどの2つのフレーズは、次のように言い換えることができる。「こういう進め方をされると、私は困っちゃうな」「前にも言ったかもしれませんが、このやり方だと私は少し心配なんです」このような言い方であれば、相手は「自分自身を否定された」と感じにくくなる。「私が困る」「私が心配」という「私」の問題になるため、相手も反論しにくく、そのぶん相手の言うことを素直に受け入れ、建設的な対話につながりやすくなる。言いたいことは同じでも、主語を「あなた(YOU)」にするか「私(I)」にするかで伝わり方は変わる。ダメ出しをする際には、主語を「私」にしてみることがポイントになる。

「勇気づけ」を基本姿勢に

この「Iメッセージ」は、言いづらいことを伝えなければならない場面全般で使える。ただし、Iメッセージを使ったとしてもダメ出しばかりをしていると、「欠点ばかり探す人」「嫌なことしか言わない人」という印象を与えてしまう。大切なのは、普段から相手の良い点や長所を認める「勇気づけ」を基本姿勢とすること。「この人は自分のことをちゃんと見てくれている」という信頼関係があってこそ、ここぞというときのダメ出しが届くという。教わる側としても「いつも自分を見てくれているこの人の言うことなら聞こう」と思えるようになるはずだ。つまり、「勇気づけ」を積み重ねることは、必要な「ダメ出し」をスムーズにする効果もある。この考え方は、関連書籍『「アドラー」だから自分で動ける部下が育つ 上司の教え方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)にも示されている。