「部下が指示待ちで動かない」「期待したように成長してくれない」――そんな悩みを持つビジネスパーソンは少なくない。この悩みは、アドラー心理学の「横の関係」を意識することで解決できるかもしれない。
心理カウンセラーで(有)ヒューマン・ギルド研修部長を務める永藤かおるさんの新著『「アドラー」だから自分で動ける部下が育つ 上司の教え方』より、一部を抜粋して紹介する。
「役に立てた!」と思える言葉をかける
「教える」行為も、要は一種のコミュニケーション。根底に善意があっても、相手が受け取れない言葉を放つのは豪速球を投げつけるようなものだ。取れないと分かっている球を投げるのは、相手のためではなく、自分の剛腕を見せつけたいだけの場合も多い。投げる方が気持ちよくても、関係性は確実に悪くなる。
大切なのは、相手が無理なく受け取れるボールを投げること。受け取るとけがをするようなトゲだらけのボールは避けつつ、何でもかんでもそっと転がして渡すだけでは相手の成長を妨げる「甘やかし」になる。心地よいキャッチボールができているかを常に意識することが、教える側と教わる側の信頼関係を育て、仕事を円滑にするうえでもっとも重要な姿勢だ。
データ入力の仕事で感じた「やりがい」
永藤さんは電機メーカーに入社した際、販売計画をつくる部署に配属され、最初に出荷台数や生産台数のデータを毎日打ち込む仕事を与えられたという。作業自体は難しくなかったが、仕事の目的や意味がよくわからず、嫌ではないけれども特にやりがいを感じることもなく、日々淡々と進めていた。
「前にも話したと思いますが」「聞いていなかったんですか?」といった言葉が若手社員の心を崩壊させてしまうことがある。部下との信頼関係を育てるためには、ダメ出しも「伝え方」が大切だ。



