多くの人が宝くじに夢中になるのは、人間の脳が確率を正しく評価できないからだ。オックスフォード大学数学研究所教授のマーカス・デュ・ソートイ氏は、その仕組みを解説する。
人間の脳は大きな数字が苦手
確率とは、膨大な可能性の中でそれぞれの事象が起こる可能性を評価する方法だが、私たちは大きな数字を理解するのが非常に苦手だ。例えば、何かの確率が100万分の1と言われても、実際にはそれがどれほどあり得るのか直感的に把握できない。
ソートイ教授は具体例を挙げる。ロンドンに約1000万人が住んでいるとき、DNA一致確率が100万分の1なら、犯罪現場のDNAと一致する人物がロンドンに10人いることになる。つまり、目の前の容疑者が真犯人である確率は10分の1に過ぎない。100万分の1という数字は非常に低く聞こえるが、実際には十分起こり得るのだ。
宝くじの確率のトリック
宝くじの当選確率は1億4000万分の1と言われるが、ソートイ教授は「買わなければ絶対に当たらないが、買えばわずかなチャンスが生まれる」という心理が人々を購入に駆り立てると指摘する。しかし、確率論から明らかなのは、宝くじは購入者全体が必ず損をするよう設計されていることだ。カジノも同様で、オッズは常に運営側に有利に設定されている。
ソートイ教授は「確率を理解することで、賭ける価値があるかどうかを判断できるようになる」と述べ、人間の認知バイアスがギャンブル産業を支えていると警鐘を鳴らす。
本稿は、マーカス・デュ・ソートイ著『世界のエリートが学んでいる数学的思考法』(SB新書)の一部を再編集したもの。



