2027年9月に開設予定の新しい教育組織「UTokyo College of Design」の入試では、エッセイ、ビデオ課題、高校の成績、評価書、課外活動や学習成果、面接などを通して、受験生を総合的に評価する。学力も評価されるが、単純な学力以外の能力も評価する入試形式を、今年から東大がさらに広げることになる。
推薦入試拡大への懸念
この話をすると毎回議論になるのが、「推薦入試ばかりになったら、日本人の学力が落ちるんじゃないか」という言説だ。世界の入試制度を「アジア型」「欧米型」と単純に二分できるわけではないが、便宜上、「アジア型」を「いわゆる中国の科挙のように、大人数に同じ試験を受けさせて点数で能力を測る方法」、「欧米型」を「ヨーロッパやアメリカの大学入試システムでよく見られるような成績・エッセイ・活動実績・面接など複数の材料から人を見る方法」と定義すると、日本の入試はアジア型から欧米型にどんどん変わってきていると言える。
「一発の試験で測る」ではなく「その人を総合的に見る」流れが強まっていることは、疑いようのない事実だ。そして、「一発の試験で測る」というペーパーテストでの入試形式のほうが、机に向かって集中して勉強するというわかりやすい努力を前提としているため、平等であり誤魔化しが効かず、指標もわかりやすいから平等なのではないか、というのが「推薦が増えると学力が落ちる説」の根拠になっている意見だ。
一般入試で東大に入った筆者の視点
筆者も偏差値35から2浪して、一般入試で東大に入った人間だ。だからこそ、「テストの点数で決めるほうがフェアじゃない?」という気持ちは、かなりよくわかると述べている。自身、受験勉強にはかなりの時間を使った。英単語を覚え、数学の問題を解き、過去問を何度もやる。その結果として点数が上がっていく。そこには、ある種のわかりやすさがある。
100点満点で70点の人と50点の人がいたら、70点の人が受かる。「親が有名人だから」「面接官と相性がよかったから」――そういうものが入り込む余地が少ない。努力が、点数という形で可視化されるわけだ。だから、「推薦なんて評価基準が曖昧じゃないか」「そんな入試を増やして大丈夫なのか」という批判を、筆者は簡単に否定する気にはなれないとしている。



