東大合格者の出身地はここ数年で大きく偏っている。2025年度前期日程入試では、関東1都6県の出身者が全体の約62%を占めた。20年前と比べてその割合は明確に上昇し、関東以外の地域(近畿、中部、九州、中国、四国、北海道、東北など)の出身者は38%前後にまで減少している。これは単に首都圏の人口が多いという理由だけでは説明できない。東大受験の仕組みそのものが都市部に極端に有利な構造になっている証拠だと、東大生作家の西岡壱誠氏は指摘する。
進学塾と教育投資の集中が生む格差
首都圏には進学塾や受験情報が集積し、家庭の教育投資も大きい。中学受験の環境、模試や講習の機会、情報へのアクセスといった条件が整いやすい。その結果、地方の優秀な生徒が東大に合格しにくい現状が生まれている。西岡氏は「早期の受験対策が過熱しているのは都会だけの話ではないか」という疑問に対し、地方では首都圏ほど受験環境が最適化されていない地域も多いと認めつつ、その裏返しとして東大が都市部の人しか入れない大学になりつつあると警鐘を鳴らす。
地方国立大でも地元出身者の減少
この傾向は東大だけに限らない。北海道大学でも2025年度の入学者のうち道内出身者は3割を切り、関東圏をはじめとする道外出身者の比率が高まっている。本来、地域の中核大学であるはずの国立大学に地元出身者が入りにくくなり、代わりに首都圏出身者が流入している。背景には明確な教育環境の格差がある。進学塾の選択肢、受験情報へのアクセス、模試や講習の機会、家庭が教育にかけられる時間と資金といった要素が都市部に集中しているためだ。
受験エリートの脆さと超難問
西岡氏は、こうした受験の過熱化が「答えが一つではない問題に脆い」受験エリートを生み出していると指摘する。その象徴が2016年度の東大入試地理で出題された超難問だ。この問題は単純な知識ではなく、複合的な思考力を要求するもので、私立中高一貫校から東大を目指す首都圏のエリートほど解けなかったという。受験対策に特化した教育では対応できない問題が、入試で出題されることの意味を考えさせる。
構造的な問題と今後の展望
西岡氏は、この状況を「受験の過熱化が生み出した構造の問題」と総括する。早期からの受験対策が進む首都圏では、思考力よりも暗記やパターン学習に偏りがちだ。一方、地方では教育資源が限られるため、多様な思考力を養う機会が少ない。この二重の課題を解決しなければ、真の学力向上は難しいと警鐘を鳴らしている。



