印象に残っているのは、全中出場をかけたブロック大会だ。逆転されそうな悪い流れの中、それまで練習場所の確保などに尽力してくれた保護者が自分の子どもに「あんた、今まで何してきたんだ!」と声を張り上げた。
それを機に生徒たちの目の色が変わり、勝利をつかみ取った。「あの全中出場は、生徒、保護者、顧問の3つがかみ合わなければ実現しなかった」。小坂さんはそう振り返る。
10年ぶりの再会と教え子の成長
その教え子たちと、小坂さんは最近、10年ぶりに再会した。部活の遠征先で、別の中学校の教員になっていた教え子に声をかけられ、「久しぶりにみんなで会いませんか」と誘われたのだ。教え子が自分と同じ中学校教員の道を選んでいたこともうれしかった。
食事会当日は8人が集まった。それぞれが自分なりに努力を重ねていることが伝わる近況報告の中で、特に印象的だったのは、当時、感情のコントロールが苦手で勉強にも身が入らなかった教え子の変化だった。高校を中退したと聞いていたが、その後は働き、結婚して子どももいる。今は資格取得を目指しているという。
「あんなに勉強しなかった子が、資格を取るために勉強していて、『家族もいるので頑張ります』と言うんです。努力すれば必ず良いことがある。そう信じていることが伝わる、キラキラした表情をしていました。その考え方の原点に部活での経験があり、その後の人生でも生かされているのなら、教師冥利に尽きると感じました」
妻の両親に呼び出され「働き方改革」に着手
一方で、部活に打ち込んだ代償は小さくなかった。小坂さんは2校目に異動後に結婚し、子育ても人一倍頑張りたいと考えていた。しかし、チームが結果を出し始めると、全中を目指して部活にのめり込んでいった。
「子どもが3歳になるぐらいまで、ほとんど一緒に過ごした記憶はありません。平日は夜遅いし、土日もずっと部活で家にはいませんでした」
【地域移行には賛成、でも担い手がいない】



