元小学校教員で子育てコーチの潮田学氏は、著書『「あなたのため」をやめましょう 親のエゴを手放せば子どもは動き出す』(KADOKAWA)の中で、多くの親が無意識に子どもをコントロールしていると指摘する。その背景には、現代社会に根付く「外側の基準」があるという。
「良かれと思って」が子どもを縛る
潮田氏は、親が「もっと頑張ろうね」「もっと上を目指そう」といった言葉をかける際、それが子どものためではなく、親自身の不安や社会の価値観に基づくコントロールである場合が多いと説明する。これらの言葉は、一見励ましに見えるが、子どもに「今のままではダメだ」というメッセージを送り、プレッシャーを与えることになる。
潮田氏は、現代人が「頭でっかち症候群」に侵されていると警鐘を鳴らす。これは、「認知のすべてが外側の世界にのみ向けられ、自分の内側の本音(感覚・感情・願い)が完全に遮断されている状態」を指す。資本主義という巨大なOSの上で、成果や効率、成長といった価値観が優先され、自分の心の声よりも「効率」「成果」「他者との比較」「最適解」が重視される。
「あなたのため」の本音とは
潮田氏は、親が「あなたのため」と言うとき、その本音は「自分が安心したい」「周りから認められたい」というエゴであることが多いと指摘する。例えば、「そんな無駄なことしないで」という言葉も、子どもの好奇心を抑え、効率を優先させる親の価値観を押し付けている。
このようなコミュニケーションは、親子関係を悪化させ、子どもの自己肯定感を低下させる可能性がある。潮田氏は、親がまず自分の内側の基準に気づき、子どもを一人の人間として尊重することが重要だと説く。
外側の基準から自由になるために
潮田氏は、親が「頭でっかち症候群」から抜け出すためには、自分の感情や直感に耳を傾ける練習が必要だと述べる。具体的には、子どもに対して「もっと頑張ろう」と言いたくなったとき、一度立ち止まり、その言葉の背景にある自分の不安や期待を自覚することが大切だ。
また、子どもとの対話では、指示や評価ではなく、共感や受容を基盤にしたコミュニケーションを心がけるよう勧めている。「あなたはどう思う?」「今、何を感じている?」といった問いかけが、子どもの内面を引き出し、自主性を育む。
潮田氏は、親が自分のエゴを手放すことで、子どもは本来の力を発揮し、健全な親子関係が築けると結論づけている。



