低学年の「学校嫌い」ゼロに、幼保から小学校への接続を滑らかにする「スタートカリキュラム」の効果と実践
「学校嫌い」ゼロへ、幼稚園・保育園の遊びを学びに変える「スタートカリキュラム」

横浜市緑区の東本郷小学校では、入学したばかりの1年生のクラスに、決まった時間割がない。保護者に渡される次週の学習予定にも、ほぼ何も書かれていない。1時限目は算数、2時限目は国語というような固定された並びはないのだ。

この予定表だけを見れば、「うちの子は本当に勉強しているのだろうか」と不安になる保護者もいるかもしれない。ところが、1週間の授業が終わると、報告プリントが渡される。そこには「今週の学習したこと」として、国語で「じどう車くらべ」をやった、算数で「ひきざん」をやった、といった具体的な内容が記されている。これなら保護者も安心できるというわけだ。

遊びを学びにする仕組み

なぜこんな授業が可能なのか。その答えは、生活科を中心にしながら、さまざまな教科の要素を組み込んでいくというカリキュラムにある。同校は「幼稚園・保育園での遊びを学びにつなげる」ことをポリシーに掲げ、それを実践している。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

堂腰氏は、ある1年生のクラスを例に挙げてこう話す。「今年4月に入学してきた1年生のあるクラスは『鬼ごっこ』にすごく興味をもっていたので、鬼ごっこの時間をたくさんとりました。そのうち普通の鬼ごっこではつまらなくなり、警察とどろぼうの2チームに分かれて遊ぶ『ドロケイにしよう』という話になり、『牢屋があったほうがいい』となりダンボルールで牢屋をつくりました。ここには走るという体育の要素があるし、ダンボールで工作する図画工作の要素があります。仲間づくりや、話し合って意思疎通をはかり合意をとるといった学習の要素も含まれるわけです」

「教科書“を”教える」という考え方

教員の仕事は、子どもたちが何を学んだのかを見極めることだ。鬼ごっこやドロケイといった「遊び」を、教科書にある「学び」の内容へと結びつけていく。学ぶ順番は教科書通りでなくてもいい。それでも「学び」はきちんと残っている。いわば「教科書“で”教える」のではなく「教科書“を”教える」のだ。

もちろん、ただ遊ばせているだけではない。鬼ごっこで走り回っていれば、教員は「体育の授業になった」と判断する。ドロケイで5人の犯人のうち2人が捕まった場面で、残りは何人かと子どもが考えれば、それは「ひきざん」の学習になる。

こうした取り組みが、幼稚園・保育園と小学校の段差をなくし、低学年の「学校嫌い」を生まない学校生活の土台になっていく。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ