長野県内の学校登山を実施する計画を立てた中学校が今年度、179校中45校と25.1%まで減少した。県山岳総合センターなどのまとめで明らかになった。2011年度までは9割を超えていたが、教員の負担やけがのリスクの大きさなどを背景に年々減少。コロナ禍が拍車をかけた。
穂高西中、7年ぶりに燕岳登山を復活
7月21日午後9時、北アルプス・燕岳(2763メートル)の山頂近くにある山小屋「燕山荘」。消灯時間から30分が過ぎた一室に、安曇野市立穂高西中学校1年生の学校登山に引率した教員11人と山岳ガイド8人、医師や看護師らが集まり、翌日の安全な下山に向けた打ち合わせを行った。
ガイドから「明日は気温が高くなる。水を500ミリリットル増やし1.5リットルにしましょう」「ロープで結ぶと足取りがしっかりするので、先生が見てこの子は危険だと思ったら遠慮なく言ってほしい」と提案が相次ぎ、教員から生徒の健康状態も報告された。
この日、1年生は選択制で3隊に分かれ、山頂を目指す4クラスの約120人が午前7時頃、標高約1460メートルの中房温泉を出発。急坂を励まし合いながら登り、稜線からの絶景を楽しんだ。河上泰樹君(12)は「人生で最初の登山なので頑張ろうと思った。みんなの応援が力になり、ここまで来られてうれしい」と笑顔を見せた。
穂高西中はコロナ禍を経て白馬八方池登山を実施していたが、ふるさとを誇りに思う心を育てたいと地元の燕岳登山の復活を計画。市教育委員会からガイドを1クラスに2人配する支援を受け、穂高東中に続いて7年ぶりの実施にこぎ着けた。
支援の動きも広がる
学校登山を側面から支援する動きも広がっている。県山岳総合センターは昨年度から県山岳協会の協力を得て、学校登山に同行するボランティアを募り、希望校に橋渡しする取り組みを開始。今年度は22人が登録し、9校から派遣要請を受けた。傘木靖所長は「学校登山は郷土愛や自己肯定感、思いやりの心などを育み、教育的な意義が大きい。実施校が継続し、今はやっていない学校も復活できるように支援を続けていきたい」と話す。
NPO法人「信州まつもと山岳ガイド協会やまたみ」は設立20周年を迎えた昨年、学校登山応援宣言を発表。県内の小中学校が学校登山をする際、各教育委員会などが規定するガイドの人数が1クラス1人に満たない場合、最低1クラスに1人を無償で派遣する応援制度を創設した。当時の事務局長で、穂高西中の学校登山のガイドリーダーを務めた福田浩道さん(59)は「学校登山は信州の伝統文化で、故郷の宝を体験する良い機会。肝心なのはやはり現場の先生なので、先生方が子供たちを連れていこうという雰囲気になるよう不安を払拭して学校登山を盛り上げたい」と話した。



