私立高無償化で高校選びに変化、公立は独自色で巻き返しへ 兵庫
私立高無償化で高校選びに変化、公立は独自色で巻き返しへ

来春の高校入試に向け、兵庫県内で学校説明会やオープンハイスクールの取り組みが本格化している。今年度から私立の授業料が実質無償化されたことを受け、今春の高校入試では、私立を第1志望とする受験生が増え、県立で定員割れが相次いだ。保護者や生徒の学校選びに変化が表れ始める中、公立も「選ばれる学校」を目指して独自色を打ち出そうとしている。

私立高の専願者が増加、無償化で選択肢広がる

国は今年度から、就学支援金の所得制限を撤廃し、私立高生への支給上限を私立高授業料の全国平均に相当する年45万7200円に引き上げ、授業料を実質無償化した。私立は施設整備費なども含めると公立の約2倍の費用がかかるとされ、導入でその差が事実上、縮まった。

県私立中学高等学校連合会によると、今春の入学者が受験した2026年度入試では、44校中39校で専願者が2025年度より増えた。内部進学者を除く定員の充足率も、79・8%から90・5%に上昇した。

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西宮市内で7月26日に開催された合同説明会には県内の私立高約50校などが参加し、約1700人が来場。長女が来春に受験するという加東市のパート従業員は「学費が高い私立はあくまで『滑り止め』と考えていたが、無償化で選択肢が広がった」と話す。

公立高で定員割れ、進学校にも影響

塾と同様に授業後に個別指導を実施している須磨学園高(神戸市須磨区)でも、専願志願者が140人から247人に増加。堀井雅幸校長は「授業料への質問が減り、教育方針や校風、カリキュラムへの関心が高まっている」と打ち明ける。

一方、私立人気の高まりで、公立は苦境に立たされている。県内では、今年3月末に卒業を予定していた国公立中学校の生徒数が前年度よりも107人多い4万3167人(昨年11月時点)だったにもかかわらず、公立高入試(全日制)の3月選抜での受験者数は、前年度より1072人減少して2万461人だった。定員に対する受験者数の割合は0・97倍。127校中62校で定員を下回り、欠員は計1719人に上った。

県内屈指の進学校として知られる県立長田高(神戸市長田区)では、最終的には複数志願選抜の第2志望で定員を満たしたものの、一般選抜の志願者が定員280人に対し277人しか集まらなかった。県立御影高(神戸市東灘区)は320人の募集に対し、最終的な入学者は300人。同高の小川秀雄校長(58)は「無償化や通信制人気など様々な原因が考えられるが、明確には分からない」と話す。

県教委、教育内容とPR方法を刷新

県教育委員会も対応に乗り出している。県教委は、県立姫路工業高(姫路市)をデジタル技術の活用人材「アドバンスト・エッセンシャルワーカー」を育成する文科省の改革先導拠点として申請。6月に内定したことから、地元企業の熟練技能者を講師とした授業の回数を増やし、技能者の視点をVR(仮想現実)で体験しながら生徒の技術向上を目指す。将来的には同高での取り組みを周辺校にも取り入れて、各校の魅力向上につなげるという。

また、学校のPR方法も見直し、今年6、7月に計3日間、初めて在校生の生の声を聞ける公立だけの合同説明会「県立高校進学フェア」を開催。延べ約2800人が参加した。

県教委の岡崎俊宏高校教育改革官(53)は「公立は施設面では私立に及ばない部分もあるが、教育内容で勝負する。どこに住んでいても学びたいことが学べる公立の魅力をしっかり発信していきたい」と話している。

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