なぜ?Suicaが使えない「クレカ乗車・QR専用改札機」設置の意図 東京メトロに疑問をぶつけてみた
Suica使えない専用改札機の意図は?東京メトロに聞いた

東京メトロが上野駅と銀座駅に期間限定で導入した「クレカ乗車・QR専用改札機」が、SNS上で大きな話題を呼んでいる。これらはクレジットカードのタッチ決済やQRコードに対応する最新の機器だ。上野駅の改札口に設置された明るい木目調デザインの専用改札機は、既存機とは一線を画す落ち着いた外観が目を引く構造となっている。

SuicaもPASMOも使えない専用通路

観光地を構える両駅での試みは、SNS上で非常に高い関心を集めている。実際に上野駅の改札を見てきたところ、特に海外の観光客が興味を示していた。この取り組みは、自動改札機のパイオニア、高見沢サイバネティックスと共同で進める実証実験だが、従来のICカードとは仕組みが異なる決済手段を都心部の過密な改札口へ導入する試みだけに、実際の使い勝手や通過スピード、設置された通路数などについて、SNS上で疑問や不満の声が上がっている。

特に利用者の間で大きな疑問となっているのが、普段の生活で定着している交通系ICカードが一切使えない点だ。SuicaやPASMOをタッチしても改札扉が開かない専用通路となっており、従来型の紙のきっぷも利用できない。なぜ誰もが毎日当たり前に使う便利なICカードをあえて完全に排除した不便な仕様にしたのか、疑問に思う乗客は非常に多く、SNS上でも誤進入への心配などを含めて不満の声が根強く上がっている。

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もう一つの不満は、QRコードを用いた乗車券の購入手順だ。利用客は乗車前にスマートフォンで専用サイトにアクセスし、クレジットカードなどを用いてデジタルチケットを事前購入しておく必要がある。駅の券売機で急にQRきっぷを買うことができない仕様になっているため、改札の手前でいちいちスマホを操作して決済を行うのは非常に面倒で、急いでいるときに全く役に立たないと不便さを感じる声は少なくない。

「観光客をターゲット」にした狙い

こうしたSNS上の疑問や懸念、苦情の声を、東京地下鉄(東京メトロ)広報に直接ぶつけてみた。特に多くの声が寄せられたのが、QR乗車券をスマートフォンによる事前購入に限定している点についてだ。

この点に関して、同社は「QRコードを活用した乗車サービスは、主に国内外からの観光を目的としたお客さまをターゲット層としています。券売機に立ち寄ることなく、お持ちのスマートフォンで完結する快適な移動を体感いただけるよう、QR乗車券の事前購入をお勧めしており、紙切れのお得な乗車券も券売機で購入いただけます」と語り、券売機に並ぶ手間のない移動の実現が狙いだと説明した。

次に、多くの乗客が疑問視する「あえてSuicaやPASMOを排除した専用改札にした理由」についてだ。これについて同社は、「処理速度の異なるサービスごと(具体的にはICと紙切れ、クレカとQR)に通路を分けることで、改札口全体でお客さまがスムーズに各改札機を通過できるかを確認するためです」と回答した。

専用の通路を物理的に分けることで、不慣れな乗客が立ち止まっても全体の流れを阻害せず、それぞれが混雑することなくスムーズに通過できるかを検証する。同時に、既存のICカード客の混入を防ぎ、各決済方法の正確な利用データを清浄に取得する目的もある。全体の人の流れを安全かつ円滑に保ちながら実証実験を行うための設計だ。

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木目調やベージュ…異なる見た目の改札機 デザイン意図は

上野駅の明るい木目調で4枚扉を備えたタイプや、銀座駅のベージュを基調とした2枚扉のタイプなど、駅ごとに大きく異なる外観デザインの仕様についても聞いた。同社によると、通常の改札機とは全く異なる専用機であることが、乗客にどの程度視覚的に認識されるか、そのデザインによる誤進入防止の視認効果を検証する狙いがあるという。

また、銀座駅の2枚扉と上野駅の4枚扉という構造の違いについても明確な技術的意図がある。構造がシンプルな2枚扉は、内部の可動部品が少なく故障しにくいため、保守性が極めて高いという仮説のもとで設計された。今回の実証実験では、逆方向通行時の扉の動作制御や、実際の故障率、さらには日々のメンテナンス効率を、既存の4枚扉のタイプと詳細に比較して多角的に検証していく方針だ。

銀座駅では、12月頃から「入鋏ゲートタイプ」と呼ばれる全く新しい形状の改札機へ入れ替える予定だ。これは全長が既設機より短く、銀色系金属色を採用したよりコンパクトな設計だ。これにより、設置スペースが限られる改札口での人の流れをどう制御できるか、ハードウェアの観点からも本格的な検証が行われる。

実証実験は2027年2月頃まで継続

SNS上では読み取り速度の遅さや混雑時の渋滞を懸念する厳しい不満の声もある。確かに実際に試してみると、QRと読み取り部との間に一定の距離(目安としては数センチ程度)ができるよう調整しなければならず、Suicaと同じ感覚でかざすと読み取ってくれない。QRの場合は向きや方向は気にしなくてもいいが、あくまで読み取り部から一定の距離でQRを読みに行かなければならず、例えばスマートフォンの画面が割れていたり、指がQR全体をおおってしまっていたりすると、当然読み取れない。

東京地下鉄広報は、「クレカ乗車、QR乗車券について、読み取り時の反応や混雑を懸念される声があることは承知しており、今回の取り組みは実際の駅環境におけるお客さまのご利用状況や改札機の導入を改めて確認する機会でもあると考え、改札口全体でお客さまがスムーズに各改札機を通過できるように検証していきます」と答えた。

実証実験は2027年2月頃まで継続され、運用上のあらゆる課題を洗い出す。スマホ事前購入限定の専用改札は一見不便に感じられるかもしれない。しかし、この丁寧な検証こそが、将来の改札口をより使いやすく、誰にとっても快適な空間にするための不可欠なステップだ。将来的な本格導入やサービス拡大へつながるか、今後の決済インフラの進化に期待したい。