中学受験を控える家庭にとって、過去問対策は合否を分ける重要な要素だ。多くの塾では「過去問は9月以降」と指導するが、プロ家庭教師集団「名門指導会」代表の西村則康氏は、国語に限っては夏休み中から取り組むことを推奨している。その理由は、入試問題の長文化や、塾の教材と実際の入試問題との乖離にあるという。
過去問はなぜ9月以降が一般的か
中学受験塾のカリキュラムは、4年生で基礎、5年生で発展的な内容を学習し、必要な範囲は5年生までに終える。6年生の1学期は総復習、夏休みには重要単元を深く復習する。この段階を経て初めて、入試レベルの問題に対応できる力がつくため、多くの塾は9月以降の過去問着手を指導する。西村氏も「まっとうな指導法」と認める。
しかし、そのスケジュール通りに進めると、9月以降の負担が大きくなる。特に、志望校が複数ある場合、過去問を解くべき本数は膨大だ。西村氏は「少なく見積もっても44本分のテスト」と指摘。さらに、複数校を受験する場合は68本以上に及ぶこともある。過去問は1教科あたり40~50分かかり、丸付けや復習を含めると1本あたり1時間以上を要する。
国語は夏休み中から始めるべき理由
西村氏は「国語だけは夏休み中から少しずつ進めておくことを勧める」と述べる。国語の授業は物語文、説明文、随筆文と異なるタイプを順に扱うだけで、5年生の学習が終わればいつから過去問に取り組んでも構わないからだ。
さらに、塾のテキストは古典的な名作を多く扱うのに対し、近年の入試問題は本屋大賞受賞作など話題作を素材文として採用することが増えている。西村氏は「塾のテキストと実際の入試問題には乖離がある」と指摘し、現代の素材文に慣れておく必要性を強調する。
また、入試問題の長文化も見逃せない。難関校だけでなく中堅校でも、素材文は2000~4000字に及ぶ。この長文に慣れておかないと、本番で時間配分を誤るリスクがある。
志望校別の過去問対策と9月以降の注意点
第1志望校の過去問は11月頃から取り組むのが適切だと西村氏は言う。一方、併願校は3年分程度で十分な学校もあれば、10年分必要になる学校もある。志望校の出題傾向に応じて対策を変える必要がある。
9月以降は塾の特別講座が増えるが、西村氏は「取捨選択が重要」と警告する。すべての講座に参加すると過去問対策の時間が不足するため、優先順位を明確にすべきだ。
中学受験の過去問対策は、計画的なスケジュール管理が鍵となる。国語を夏休み中に先行して取り組むことで、9月以降の負担を軽減し、効率的な受験準備が可能になる。



