市長直轄のいじめ監察課、直接聞き取り1か月以内に停止…年1000件対応
市長直轄のいじめ監察課、直接聞き取り1か月以内に停止…年1000件対応

大阪府寝屋川市は、いじめ対策に特化した市長直轄の部署を設けている。児童・生徒から訴えを直接聞き取って調査し、1か月以内にいじめを停止させる。場合によってはクラス替えや転校も支援する。取り扱いは年1000件近くあり、全国の自治体などが視察に訪れる。

チラシで情報募る取り組み

市立和光小学校の教室で6月中旬、担任教諭が2年生約40人にチラシを配りながら「何か分かるかな?」と呼びかけると、「いじめ!」と声が上がった。A4判のチラシには「新しいクラスになって、学校や友達関係で困っていませんか?」などと書かれており、悩み事を書ける空欄がある。切り取って折りたたみ、ポストに投函すれば、切手なしで市の「危機管理部監察課」に届く。

毎月、市内の全市立小中学校35校で配布しており、児童らは見慣れた様子だった。担任教諭は「嫌な思いをしたり、心が複雑になったりしたらいじめの始まり。学校だけじゃなくて、監察課が手伝ってくれます」と説明した。

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監察課の設置と対応

監察課は2019年10月、同年に就任した広瀬慶輔市長が「いじめを一日も早く止める」との強い思いで設置した。小中学校のいじめに特化した部署で、学校関係者はおらず、市長部局の職員で構成している。過去2年間に起きた約300件のいじめ事案を再調査するなどし、ノウハウを蓄積。子ども同士の関係の再構築を視野に対応する教育現場とは異なり、第三者の立場で即応する。現在、弁護士資格を持つ職員など、市長部局の10人が所属する。

チラシやフリーダイヤル、アプリで情報が寄せられると、監察課の職員が被害者や保護者に会って話を聞き、学校か監察課のどちらの対応を希望するかを確認する。監察課を希望した場合は、加害児童・生徒や保護者に話を聞き、事実が確認できれば注意してやめさせる。内容によって、市長が学校にクラス替えを勧告したり、被害者側が転校する費用を補助したりする。

対応方針と実績

監察課の対応は「まず子どもの安全。正義の追求と損害の回復は後」(広瀬市長)が前提だ。情報提供から1か月以内にいじめを止め、その後3か月間、再発の恐れがないことを確認できれば終結とみなす。

「『死ね』と言われた」との相談には、加害者の子どもに「学校に来られなくなることもある、危険な言葉だよ」と伝えた。加害者側が自分も被害を受けていたと主張した際は、それぞれ別のケースとして対応した。被害者側からは「すぐに動いてくれた」「第三者の立場で入ってくれた」などの声が寄せられている。

学校が対応した事案のチェックも含め、当初の取り扱いは年200件程度だったが、25年度は994件に増えた。これまでに、クラス替えに関する勧告と転校の費用補助がそれぞれ2件、弁護士の費用補助は6件。いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」と認定されたのは1件のみだった。同課は、軽微に見える事案にも対応していることで、深刻化を防げているとみている。

全国への波及

市長部局でいじめに特化した部署は珍しく、25年度は全国から40件の視察があった。同市を参考に、大阪府河内長野市は25年、東京都立川市は今年4月から、市長部局にいじめ対策の部署を設けた。

淑徳大の坂田仰教授(教育行政学)は「子どもの命に関わる重大ないじめ問題について、緊急的に首長部局が対処できる仕組みは評価できる。首長部局の関与が常態化すると、(特定の政治的意見などに偏らない)教育の政治的中立性を踏み越える懸念があり、注意が必要だ」としている。

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