山口県山陽小野田市の県立厚狭・厚狭明進高校の前身となる「船木女児小学」の初代校長で、日本の女子教育の先駆者の一人として知られる毛利勅子(ときこ、1819~79年)に関する資料の目録と写真などを収めたDVDが完成した。同市のボランティア団体「歴史・文化をつなぐ会」が制作し、同高に寄贈した。
毛利勅子の功績と資料整理の経緯
勅子は厚狭毛利家の第10代、元美の正室。1873年に当時の区長とともに同小学を創立し、自身も教壇に立った。身分の分け隔てなく女子生徒に礼儀作法や裁縫などを教え、「私の魂は、常に学校と共にある」との言葉を残して79年に亡くなった。
整理されていない状態の資料が同高に残っているという情報を受けた同会が、資料の整理を申し出た。同会は昨年10月、同高や同窓会館に保管されていた1873年から1948年までの写真や勅子の遺品などの資料約2100点を体系的に整理し、データ化する作業に着手した。
ボランティア約50人が協力、目録完成
作業は会員7人のほか、同高の生徒や市立山口東京理科大の学生ら約50人のボランティアも協力。各資料の「資料表題名」「内容・備考」「年月日」「材質・形状・形態」「寸法」などの項目を一つずつパソコンに入力したり、写真に収めたりして、今年5月に目録が完成した。
資料は当時の授業風景や学校行事、卒業時の様子などを収めた写真が多く、勅子が使用した琴や三味線、書見台などもあった。DVDについては、厚狭・厚狭明進高と今後協議して公開する範囲を決めるという。
閉校と新たな伝統への期待
厚狭高は今年度で閉校となり、来年度からは厚狭明進高となる。6月下旬に厚狭・厚狭明進高で目録とDVDの贈呈式が行われ、中市妃佐代校長は「本校の職員だけで資料を整理することは難しかった。目録やDVDを厚狭明進高校につないで後輩に見せ、新たな伝統を重ねていきたい」と語った。
同会の江沢正思会長は「近代日本を築いた人物として名前が残っているのは男性がほとんどだが、厚狭高やその前身の学校は名を残した女性を数多く輩出している」と説明。「勅子さんは女子教育に並々ならぬ思いを持ち、子どもたちの生活面からしっかりと指導した。教育に人生をささげた生きざまを知ってもらいたい」と語る。
目録の販売と配布
目録はA4判170ページ。50部作成し、山陽小野田市や宇部市の図書館などにも配布する。山陽小野田市厚狭の佐々木書店では1500円(税込み)で販売する。



