東京と伊豆諸島間などで定期旅客船を運航する「東海汽船」(東京都港区)で、乗組員による酒気帯び状態での当直勤務やアルコール検査の身代わり受検といった複数の法令違反の疑いがあることが、関係者への取材で分かった。国土交通省は近く、海上運送法に基づき、同社に対する事業停止や安全統括管理者の解任を命じる手続きに入る方針だ。
違反内容と影響
同社は、東京・竹芝桟橋と伊豆諸島の各島を結ぶ旅客船運航の大部分を担っている。今回の事業停止命令は主要ルートも対象に含まれるとみられる。事業停止命令が出た場合、島民や旅行客らに大きな影響が及ぶため、国交省は事業停止期間などについて慎重に検討していく模様だ。
関係者によると、国交省が今年に入って同社や同社の旅客船への臨時の監査を行ったところ、複数の船で▽酒気帯び状態の乗組員による船上での当直勤務▽別人によるアルコール検査の身代わり受検▽旅客乗船口を閉じないままの運航――などが発覚した。いずれも船員法や海上運送法に違反しているとみられる。
国交省の対応と今後の手続き
これらの行為について国交省は、旅客船の安全な運航に重大な支障が出かねない悪質な行為とみている。関東運輸局が近く、処分案についての意見などを聞く「聴聞」の実施を同社に通知する。正式な処分は聴聞後に決定する。
東海汽船は読売新聞の取材に対し、「現段階では回答は差し控える。公表すべき事項が生じた際には、適切な時期にお知らせする」と回答した。
安全統括管理者らの解任命令が出れば、2024年9月、JR九州高速船(福岡市)の旅客船「クイーンビートル」の浸水隠し問題以来、2例目となる。
過去の指導と会社概要
東海汽船は昨年4月にも、旅客避難などの教育訓練を修了していない人を乗組員として働かせたなどとして、国交省から海上運送法上の安全確保命令などを受けていた。今回も再び同命令が出る見込みだ。
同社のホームページなどによると、同社は1889年設立。大型客船「さるびあ丸」(6099トン)、「橘丸」(5681トン)や、3隻のジェット船で、東京―大島、東京―八丈島、熱海―大島間などを運航している。昨年1年間の乗船客数は計約60万人だった。



