文部科学省の調査で、岩手県内の公立小中学校と高校の体育館(武道場など含む)の冷房設置率がそれぞれ5.8%、1.5%にとどまり、全国平均(小中学校31.7%、高校24.7%)を大幅に下回っていることがわかった。固定式の冷房設備は設置費用が高額になる場合もあり、自治体は比較的安価な移動式のスポットクーラーなどの設置を進めている。
上野中学校ではスポットクーラー活用
北上市立上野中学校の体育館では25日、剣道部の女子部員6人が素振り練習に励んでいた。市内は35.5度の猛暑日。休憩時間になると、市から配備されたスポットクーラーを囲むように集まり、涼んだ。
同部では現在、熱中症対策として、防具を身につけない練習や比較的涼しい早朝の練習に取り組んでいる。顧問の小野純治教諭(43)は「スポットクーラーが届いて、熱中症予防の選択肢が増えたのはよかった」と話す。
設置率は小中学校5.8%、高校1.5%
文科省の調査(5月1日時点)によると、指定避難所を含む県内の小中学校体育館・武道場計469棟のうち、スポットクーラーなどの冷房が設置されているのは27棟で、設置率は5.8%。固定式の冷房を完備するのは田野畑村と滝沢市にある中学校の体育館・武道場計4棟にとどまる。
国は2035年度までに冷房の設置率を100%にする目標を掲げ、指定避難所であることと断熱工事を実施するという二つの条件を満たす小中学校体育館などへの設置費を半分補助する交付金制度を設けている。しかし、固定式の冷房設置には1億円程度かかる場合もあり、学校を管理する自治体の負担も大きいことから全国的に設置は進んでいない。
公立高は交付金の対象外で、体育館・武道館など204棟中、スポットクーラーなどが設置されているのは3棟で設置率は1.5%にとどまる。高校の体育館は小中学校と比べて面積が大きい傾向にあることや1校で複数の体育館を所有している場合もあり、設置費用がかさむことが要因とみられる。
自治体独自の導入広がる
県内の自治体では、スポットクーラーなどを導入する独自の動きが広がる。大船渡市は今春までに、1台あたりの設置費用が12万円と31万円のスポットクーラー2種類を、指定避難所の小中学校の体育館などに4台ずつ配備。設置率は93.3%となった。金ヶ崎町でも3月、1台27万円の気化式冷風機計18台を指定避難所の小中学校6校に設置し、設置率は100%に達した。
県教育委員会は県議会6月定例会に、指定避難所となっている県立高・特別支援学校計34校の体育館などに、スポットクーラーを2台ずつ導入する費用約7400万円を盛り込んだ議案を提出。7月から順次設置されている。
県教委の山崎重信学校施設課長は県立高への設置拡大を検討する考えを示した上で、「(小中学校を管理する)市町村に対しては、固定式冷房設備を設置した自治体の事例やスポットクーラーの配備事例を紹介するなどして、設置率向上に努めたい」と話す。



