夏休みの子ども向けの仕事体験会で、浮体式洋上風力発電の風車の模型を一緒に組み立てる親子の姿があった。8月3日、東京都中央区の戸田建設ミュージアムで開かれたイベントだ。事業を解説するアテンダントの女性が「模型に近づいて見てみてください。実際の風車の大きさはこの120倍です」と呼びかけると、10組ほどの親子が模型の周りに集まり、興味深そうに眺めた。
無償で体験の場を提供「こども冒険バンク」
このイベントは、子どもたちに無償で学びや体験の場を提供する「こども冒険バンク」だ。病児保育事業などを行う認定NPO法人「フローレンス」(東京都千代田区)が主催している。この日は、こども冒険バンクに参画する戸田建設がイベントを提供。風車の模型作りも行われ、子どもたちは青やピンク、緑など、好きな色で装飾。実際に水に浮かべ、うちわで羽根を回して楽しんだ。
子ども2人と暮らす40代の女性は、中学1年の長女と参加した。「夏休みに遊びに連れて行きたいけど、なかなか行けなかった。ありがたい企画です」と話す。子どもたちをレジャー施設などで思い切り遊ばせたいという思いもあるが、仕事などで時間や体力的な余裕がないという。「子どもは外に出て、何か新しい発見につながっていると思う」と語った。
きっかけは食料支援の現場から
「こども冒険バンク」は2024年8月に始まった。フローレンスで事業を担当する林寛子さんによると、きっかけは食料支援の場だったという。経済的な困りごとを抱える家庭やひとり親家庭などへの食支援を行う中で、支援する家庭から声が寄せられた。母親が子どもに誕生日に行きたい場所を尋ねると、「公園がいい」と返ってきたという。「公園だったら無料だし、お母さんが困らないでしょう」という言葉が、林さんらの心に残った。
食事を届けることで当事者の命はつながっているかもしれないが、心の栄養も大事な支援なのではないか――。そうした思いから、2023年夏に「夏の体験格差解消プロジェクト」を実施。反響が大きく、2024年からは事業の一つに加わった。
夏休みは体験の差が目立ちやすい
こども冒険バンクは、18歳以下の子どもを育てる経済的に厳しい状況やひとり親の家庭、障害のある子を持つ家庭が主な対象。毎月、様々な企業や団体などが提供するイベントから好きなものを選ぶことができる。音楽などの文化やスポーツ、社会体験、食事券を用いた外食体験など、多岐にわたる。
林さんは「夏休みは一年の中で一番体験の差が目立ちやすいと思います」と話す。長期休みの期間中、特にひとり親や経済的に苦しい家庭では、子どもが一人で過ごしたり、金銭的な余裕がなかったりして、体験の差が顕著になるという。



