台風の進路予想でおなじみの「予報円」。この円の意味を誤解している人は少なくない。雲研究者で気象庁気象研究所主任研究官の荒木健太郎氏は「『円の外=雨が降らない』と安心している人もいるかもしれないが、それは大きな誤解だ」と指摘する。
予報円は「台風の大きさ」ではない
予報円は、台風の中心が一定の確率で進むと予想される範囲を示したものであり、台風の大きさや暴風域を表すものではない。円の外側でも、台風周辺の雨雲や風の影響を受ける可能性があるため、油断は禁物だ。
線状降水帯の脅威
大雨のニュースでよく聞かれる「線状降水帯」は、積乱雲が風上側で次々と発生し、線状に連なる雨雲のことで、集中豪雨をもたらす。通常の積乱雲では数十mm程度の雨量だが、線状降水帯が形成されると、狭い範囲で長時間にわたり強い雨が続き、雨量が100〜数百mmに達することもある。
線状降水帯は梅雨期の九州や西日本の太平洋側で多く発生するが、全国どこでも起こり得る。気象庁は発生を検知すると「顕著な大雨に関する気象情報」を発表する。この情報が出たら、水害の危険度が急激に高まっているため、気象庁の「雨雲の動き」や「今後の雨」で位置を確認してほしい。
ただし、線状降水帯の予測は難しく、気象庁が半日前に発表する発生予測の的中率は4回に1回程度とされる。予報の有無にかかわらず、大雨が予想される場合は備えが重要だ。
台風の正体と強さの階級
台風は、温かい海上で発達した積乱雲が集まって渦を巻く熱帯低気圧で、最大風速が17.2m/s以上になったもの。気象庁の定義では、最大風速33〜44m/s未満が「強い台風」、44〜54m/s未満が「非常に強い台風」、54m/s以上が「猛烈な台風」となる。「スーパー台風」は米軍合同台風警報センターが定める最強レベルの呼称だ。
猛烈な台風は暴風や高潮に加え、大雨の被害ももたらす。例えば2024年台風第10号では、東海や九州南部で総降水量900mm超の記録的な大雨となった。
日本は台風の通り道にあり、夏には太平洋高気圧の風に乗って北上し、偏西風に乗って列島の真上を進みやすい。地球温暖化が進むと、日本の南の海上で猛烈な台風の発生割合が増え、日本付近を通る台風の移動が遅くなるという研究結果もあり、強い台風の影響が長期化する可能性が指摘されている。



