産経新聞社杯争奪麻雀女流リーグに相性のいい選手は何人かいるが、その筆頭と言ってもいいのが水口美香だろう。2018シーズンには麻雀女王にも輝いており、それを含めて個人戦で3度決勝に進んでいる。シードがなく、全員が予選から戦うこの大会で3度決勝に進むのはかなり難易度が高いことであり、水口の確かな実力を証明していると言っていいだろう。
ほろ苦い思いもあったタイトル獲得
ただ、水口にとって一番悔いが残っているのは勝った2018シーズンの決勝なのではないだろうか。産経新聞社杯で初めて決勝に進んだ2018シーズン。4戦勝負の決勝戦で最初の2戦を2連勝。ほぼ優勝を手中に収めたと思われた。しかし3戦目から優勝を意識した水口は戦い方を大きく守備寄りに振った。それが裏目に出たか、塚田美紀の追い上げを受けて追い詰められた。いや、もし塚田が正しくアガリをものにしていれば、塚田が逆転で女王を手にしていた。水口にとっては逃げ切ったというよりも転がり込んだ優勝という印象だった。
2戦でトップを取って大きなリードがある中、そのポイントを守りにいく戦略は決して間違っていない。そして当時の水口は守備を大事にするプレイヤーだった事もあっただろう。自分の得意な戦い方で勝ちにいけるという手応えもあったはずだ。優勝したとはいえ、水口としてはスッキリと喜べるという気持ちではなかっただろう。
進化した水口の麻雀
2019シーズン、水口の麻雀は少し変わったように見えた。持ち前の守備力はそのままに、勝負所を見極めて鋭い攻めを見せる。ポイントに余裕ができても守り一辺倒になる事はなく、相手が攻めてきても上手く手を作りカウンターを狙う。自分の得意なスタイルを一歩進化させた姿がそこにはあった。そして水口は2年連続で個人戦決勝の舞台に立った。決勝は最終局まで中野ありさと競り合う展開になり、中野の奇跡的な手順で優勝は逃したが、「負けて強し」とは正にこの事と言える内容だった。
2018シーズンに優勝した時よりも強いと思えた。その事を水口に伝えると、照れながらも嬉しそうにしていた事を覚えている。
若手に立ちはだかる事になった巡り合わせ
2024シーズン、2戦勝負の初戦で大トップを取り、圧倒的優位にいた川上レイを追い詰めたのは水口だった。優勝を意識して守りに入った川上をギリギリまで追い詰めたのが水口というのも、何か運命的な巡り合わせを感じる。もしかしたら在りし日の自分を思い出す瞬間もあったかもしれない。
産経新聞社杯で磨いてきた攻守兼用のスタイル。水口がこの戦い方でまた輝くシーンがある事を私は楽しみにしている。(文・筒井大輔 産経新聞社杯争奪麻雀女流リーグ2027公式実況)



