熊本県は29日、猛暑に見舞われた。余震を心配して車中泊をする被災者からは、熱中症や体調悪化を懸念する声が多く聞かれた。ライフラインや交通網の寸断も続き、被災者は厳しい生活環境に置かれている。
避難所の状況
宇城市の「道の駅 うき」には29日午後3時頃、約50台の車が駐車。同市の派遣社員の女性(47)は「再び地震があった時、人の目が届かない自宅は怖い」と、中学2年の息子と車中泊を選択。ガソリンが残りわずかでエアコンを使わず窓を開けて暑さをしのぐ。「ロードサービスにガソリン給油を頼んだが、いつ来るか分からない。待つしかない」と汗をぬぐった。
本来避難所として活用されるはずだった宇城市の「防災拠点センター」は揺れで天井が崩れたため、駐車スペースを開放。車中泊をした同市の主婦(79)は「暑くて、足もつってしまう」と話した。
市役所近くの避難所では、疲れた表情で毛布やシートの上に横になる市民の姿が目立った。女性(87)は「一人暮らしなので避難所の存在はありがたいが、慣れない環境で疲れもある」と話した。
医療機関の被害
厚生労働省は、被災者がマイナ保険証などを持たずに避難している可能性があるとして、自治体に対し、医療機関の窓口で提示できなくても保険診療を受けられることを周知するよう伝えた。氏名や住所などで本人確認ができれば受診できる。
県によると、医療機関も被災し、29日午後2時現在、計65の医療機関が停電や断水となり、患者を他の病院に移す「病院間搬送」も実施された。
ライフラインと交通
ライフラインの復旧は見通せない。九州電力は29日午後8時現在、県内の約2万7000戸で停電が続くと発表。九州ガスは午後5時現在、八代市内の8892戸で都市ガスの供給を停止している。
県によると、水道は同2時現在、八代市や宇城市など約6万5810戸で断水。宇城市役所には給水車が配備され、水を求める市民が長い列を作った。
JR九州は29日、記者会見を開き、九州新幹線でレールの破断や防音壁の落下などが200か所以上確認されたと明らかにした。全線で運転を見合わせていた九州新幹線は、博多―筑後船小屋駅間で運転再開。筑後船小屋―熊本駅間は30日中の運行再開を目指す。
西日本高速道路九州支社によると、29日午後5時現在、九州道の益城熊本空港インターチェンジ(IC)―えびのICの上下線などで通行止めが続いている。



