熊本地震が示した活断層予測の限界 地殻変動データで革新を
熊本地震が示した活断層予測の限界 地殻変動データで革新

熊本地震の発生から1カ月が近づく中、活断層による地震予測の問題点と科学の限界が浮き彫りになった。今回の地震は長大な日奈久断層帯のうち、北東部に位置する高野―白旗区間の一部と、中央部の日奈久区間が連動して起きた。北東部は平成28年の熊本地震でも動いており、断層の割れ残りとして警戒されていた隣接区間が動いた形だ。

長期評価の盲点と再調査の遅れ

政府の地震本部は、活断層の地震発生確率などを過去の活動歴から予測する長期評価を公表している。日奈久区間の確率は全国で最も高いSランクと評価されていたが、北東部は過去の活動間隔が分からず不明としていた。両区間の連動は想定されていなかった。

しかし、北東部の活動間隔は地震本部が28年度から行った再調査で既に判明しており、確率は算出できたはずだ。過去に日奈久区間と連動したことも分かっていた。全ての区間で確率の見直しが必要となったが、この調査結果は現在も長期評価に反映されていない。地震本部は「他の調査結果を含む総合的な検討などに時間を要し、今回の地震に間に合わなかった」と釈明する。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

地殻変動データへの期待

長期評価に反映したとしても、隣接区間の連動確率を算出することは現在の地震学では難しい。また、日奈久区間は前回の熊本地震の影響で地震が起きやすい状態が続いていたが、リスクの高まりを把握する方法は確立されていない。地震本部も研究計画を立ち上げていたが、その直後に地震が起きた。

新たな手法として注目されるのは、GPSで観測した地殻変動のデータを長期評価に活用する試みだ。京都大防災研究所の西村卓也教授によると、今回動いた日奈久区間は前回の熊本地震以降、地震を引き起こすひずみがたまるペースが速くなっていたという。西村氏は「ひずみがどこまで蓄積したら地震が起きるかは分からないが、こうした地殻変動のデータを補うことで予測精度の向上が期待できる」と話す。

今後の課題と他断層への教訓

活断層の長期評価は阪神大震災を契機に始まり、大地震の恐れがある活断層を掘削調査し、危険度を明らかにする役割を果たした。阪神以降の30年間で地殻変動や地震の観測網の整備が大きく進み、過去の活動歴だけでなく現在進行形の観測データも統合した長期評価の革新が求められる。米国では地殻変動なども活用した予測が行われている。

日奈久断層帯はまだ割れ残っている部分があり、大地震がまた起きる恐れがある。不確かな予測の精度を少しでも向上できれば、防災上の大きな意味があるだろう。割れ残りが懸念される活断層は他にもあり、17年に福岡県の警固断層帯、26年に長野県の糸魚川―静岡構造線断層帯のそれぞれ一部が動いた。いずれもSランクの活断層で、今回の教訓をこれらのリスク評価に生かすことも求められる。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ