労災判断が半年超決まらない事案2329件、5年前から倍増…労基署の調査追いつかず
労災判断が半年超決まらない事案2329件、5年前から倍増

長期未決事案が5年で倍増、2329件に

厚生労働省への取材で、労災申請から半年以上経過しても認定の可否が決まらない「長期未決事案」が今年1月末時点で2329件に上り、5年前の2021年(1169件)から約2倍に増加したことが明らかになった。急増する労災申請に労働基準監督署の調査が追いつかない状況が続いている。

労災保険制度と判断の目安

労災保険は雇用主が保険料を負担し、仕事中の死傷や過労死、ハラスメントによる精神疾患などが対象となる国の制度。労基署は労働者側の申請に基づき労災該当性を判断する。判断の目安は負傷・病気の療養・休業補償で申請から約1か月、死亡事案の遺族補償で同4か月とされ、半年以上経過したものを「長期未決事案」と定義している。

背景にある申請数の急増と調査リソース不足

長期未決事案は2021年の1169件から2023年以降は2000件超で高止まりしており、療養や休業を強いられた労働者への補償遅れが懸念される。背景には過労死や精神疾患など業務との関連性判断に時間を要する重大労災の申請増がある。2025年度の申請件数は6212件と、2020年度の2835件から2倍以上に急増。特にパワハラなどのハラスメントによる精神疾患申請が相次ぎ、上司や同僚への聴取に時間がかかる事案が長期化の一因となっている。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

厚労省によると、労災調査を担う労働基準監督官の2026年度定員は3145人で、5年間で3.4%増にとどまり、申請増に追いついていない。労基署が企業の労働実態を調べる「監督指導」は2024年度に全国約382万事業所のうち約18万事業所(5%未満)しか実施できていない。

厚労省が迅速化通知、調査効率化へ

こうした状況を受け、厚労省は3月、全国の労働局に対して調査迅速化を求める通知を発出した。内容は、認定判断が容易な事案での報告書省略や、関係者聴取の電話実施などによる調査効率化、重大労災の調査への人員・時間集中が柱となっている。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ