能登半島地震の被災者向け災害公営住宅について、最も多くの整備を予定する輪島市の申請戸数が1219戸(暫定値)に達し、想定を244戸上回る事態となっている。背景にあるとみられるのは県が決めた家賃の3年間無償化だ。一定以上の収入があり、4年目以降の家賃が割り増しになる「収入超過者」は1割超を占め、無償期間終了後は空き室が続出する懸念が高まっている。
申請数が想定を大幅に超過
輪島市によると、申請は5月11日から7月10日まで受け付け、1219戸のうち収入超過者は約14%の170戸に上った。市は意向調査をもとに必要戸数を975戸として整備計画を固めたが、その後、県が家賃3年間無償化を打ち出した。市は想定を上回る分も整備する方針で、計画の練り直しを迫られることになる。
災害公営住宅は自宅再建が困難な被災者に安価な家賃で提供され、県の事業で家賃は3年間無償になる。整備費は能登半島地震では国が4分の3を補助し、残りを市町が地方債などを使って負担する。
空き室リスクと財政への影響
収入超過者は無償化分を含めて4年目以降に家賃が上がるため、無償期間後の自力再建や民間賃貸住宅への移転などが一定数見込まれる。市は家賃収入や国の家賃低廉化補助で整備費を償還する予定だが、空き室が続出すれば財政悪化を招きかねないという。
このため、市は県に対し、少なくとも無償化を理由に空き室が想定される収入超過者の住宅について、「県による建設」か「建設費の4分の1に相当する額や将来発生する維持管理費の支援」などを求めている。市の担当者は「思った以上に申請があった。増加分の対応は県や国と協議したい」と話す。
県議会からの要望と他市町の状況
16日に開かれた県議会環境農林建設委員会では、平蔵豊志県議(自民)から「追加で寄せられた戸数分くらいは市町ではなく、県で整備したらどうか」との要望もあった。
地震の被害が大きく整備戸数が多い奥能登地域では、珠洲市が先月30日、穴水町が今月7日に受け付けを締め切った。能登町は今月末まで受け付けている。
珠洲市はほぼ想定内の709戸の申請を受け付け、木造仮設住宅の賃貸住宅への転用の申し込みは191戸に上った。
232戸の整備を想定していた穴水町は231戸の申請を受け付けた。これまで必要と見込んでいた19戸で申請が見送られた一方、家賃無償化などの影響で新たに18戸から申請があったという。



