徳島道事故から1年、消防隊員が振り返る「冷静でいようとしたが…」 対面通行区間の安全対策は進まず
徳島道事故1年、消防隊員「冷静でいようとしたが…」 対面通行区間対策は進まず

徳島県阿波市市場町の徳島自動車道で昨年7月、中型トラックが高速バスに正面衝突し、バスが炎上して2人が死亡、12人が重軽傷を負った事故から14日で1年が経過した。現場で消火活動にあたった消防隊員が当時を振り返り、災害への備えの大切さを訴えた。事故で危険性が改めて指摘された片側1車線の対面通行区間は、事故防止対策が進む一方、徳島道では依然として約7割を占めている。

事故発生から消火活動まで

事故は昨年7月14日午後0時30分頃、土成インターチェンジと脇町インターチェンジの間で発生した。対向車線にはみ出したトラックが、松山発神戸行きの高速バスに正面衝突。バスには運転手と乗客計13人が乗っており、乗客の主婦(当時56歳)とトラック運転手の男性(当時55歳)が亡くなった。

「事故現場で火災が発生している」。徳島中央広域連合消防本部からの無線連絡で、現場に向かっていた同連合中消防署の消防車内に一層の緊張が走った。バスが絡む高速道路上の事故で要救助者が多いと予測されたが、火災となれば被害が拡大する可能性があった。

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隊員の証言「冷静でいようとしたが…」

現場近くのトンネルを抜けると、最初の現場指揮を担った河野裕中隊長(49)はバスから立ち上る黒煙を目にした。防火服を着ていても熱が伝わり、一瞬近づくのをためらうほどの炎の中、隊員らと活動を開始。河野中隊長は「冷静でいようとしたが、人命救助や水の確保といった色々なことが頭の中を駆け巡っていた」と振り返る。

現場には消防車やドクターカー、パトカーなど20台以上が集まり、消防隊員や警察官ら計約100人が対応した。高さ17メートルの高架橋上で近くに水がなく、約700メートル離れた地上の防火水槽から複数のホースをつないで水を確保。困難な状況だったが、バスの運転手らの誘導で亡くなった主婦以外の乗客は車外に逃げることができた。

事故後の安全対策と現状

事故現場の柿ノ木谷高架橋には、対向車線へのはみ出しを防ぐため、2025年11月にセンターブロックが設置された。さらに2026年5月には、三好市の新山トンネルにセンターパイプが設置された。NEXCO西日本四国支社によると、徳島道では現在、県内3か所で4車線化を進めているが、その他の区間は財源確保や交通状況などを踏まえて判断するという。同社は「引き続き4車線化や対面通行区間の安全対策を実施する」としている。

対面通行区間は、全国の道路交通網を早期に確保するため、開通当初に交通量が見込めない区間に採用された。2015年に全通した徳島道(全長106キロ)では当初、全線が同区間だったが、現在も約7割を占める。

交通安全キャンペーンとタイヤ点検の呼びかけ

事故から1年を前に、県警高速隊などは9日、事故現場から12キロ東にある上板サービスエリア下り線で交通安全キャンペーンを実施した。県警の調べで、事故直前にトラックの右前輪タイヤが破裂したことが判明しており、隊員らはドライバーにタイヤの点検や安全運転を呼びかけた。

家族旅行中の会社員(45)は「定期的にタイヤを点検し、安全運転を心がけたい」と話した。川真田淳治高速隊長(54)は「夏場は路面が熱くなり、タイヤが損傷しやすい。空気圧や溝などを日頃から確認してほしい」と注意を促している。

河野中隊長の呼びかけ

現場近くを通ると、今でも事故の日を思い出すという河野中隊長は、「どこで火災や事故が起こるかわからない。自宅や職場の消火器の場所、避難経路を確認するなど、日頃の意識で結果は違ってくる」と災害への備えの重要性を訴えている。

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