記録的な大雨に見舞われてから3日目となった29日、氷見市では土砂崩れなどの影響で、依然として3地区で孤立状態が続き、住民たちは一日も早い解消を願った。一部地域では水が引かず自宅に戻れない被災者もいて、長引く避難生活に疲労の色を濃くした。
3地区27世帯49人が孤立、市が支援
一時6地区が孤立していた氷見市内では、29日午後までに一部が解消したものの、同日午後2時時点で3地区の27世帯49人が孤立したままだ。市が飲料水や保存食を運搬するなど支援を行いつつ、土砂の除去作業を進めている。
土砂崩れで国道につながる唯一の道路がふさがり、8世帯22人が孤立する氷見市熊無地区。29日は雨の中、ショベルカーやチェーンソーで道路上の樹木や土砂の撤去が進められていた。男性作業員は「電線に引っかかった樹木を取り除いてから土砂の撤去にかかるので、まだ時間がかかりそうだ」と話していた。
同地区に住む男性(75)は電話取材に、「今は食べ物もあって元気もあるが、この状況が続けば厄介。車1台でも通れるようになってほしい」と願った。
床鍋地区では全道路が寸断、区長が訴え
同市床鍋地区では、全ての道路が土砂災害で寸断し、住民は買い物や病院に行けない状況だ。同地区の男性区長(71)は「車が通れず、自由が利かなくて悔しい。どこか1本でも開通してほしい」と切実に語った。
一方、市道や林道の土砂崩れで孤立していた同市老谷地区は、28日午後3時に解消された。同地区の男性区長(66)によると、孤立の間も電気や水は問題なく使えたという。「救急車などの緊急車両が通れないことが一番心配だった。通行できるようになり安心した」と胸をなで下ろした。
男性会社員(56)は畑で育てたナスやピーマンで、カレーやスパゲティを作ってしのいだ。地区では生活協同組合の配達を利用する住民が多いといい、「一人暮らしの高齢者の生活に、大きな影響がなくなりよかった」とホッとした様子だった。
避難所は3か所に集約、66人が身を寄せる
氷見市内の指定避難所は一部が閉鎖され、3か所に集約された。29日午後1時現在、66人が身を寄せる。このうち、同市鞍川の市ふれあいスポーツセンターには30人が避難している。
妻と2人で身を寄せる同市十二町の男性(75)は「いつまでいればいいのか」と肩を落とした。平屋の自宅は床上浸水。「畳が浮いてきたと思ったら10分くらいで水が上がり、ドアが開かなくなった」と27日夜からの出来事を振り返る。寝室に入れず食卓に枕を置いて寝て、翌28日朝に救助された。2024年の能登半島地震で半壊した自宅がまたも被災し、「うそみたいだ。電化製品は全てだめになり、もうどうしようもない」とうなだれた。
同市川尻の男性(79)は27日早朝、「ゴー」という大きな雨音で目を覚まし、自宅前の道路が足首くらいの高さまで冠水しているのを見て、慌てて車で避難した。29日朝に自宅に戻ろうとしたが、約200メートル手前の道路が浸水しており、近づけなかった。「1週間程度の避難は覚悟しているが、家のことが心配で寝られず頭が痛い」と深いため息をついた。
氷見市立上庄小には25人が避難しており、扇風機などの空調がある体育館で横になるなどして過ごしていた。同市三尾の男性(72)、女性(65)夫妻は27日午前7時頃、自宅の茶の間の電気が突然消えた後、「ガシャガシャガシャ」と窓ガラスが割れる音を聞いた。崩れた自宅の裏山から木々や土砂が台所などに流れ込み、冷蔵庫や洗濯機は泥まみれに。けがはなかったが、その日の午後3時頃に身一つで避難した。男性は自宅の写真を見つめ、「もう住めないかもしれないと思うとショック。涙が出てくる」と話した。



