「止まれ」理解できず事故死か、日本語学校長が啓発強化…英語併記切り替え進む
「止まれ」理解できず事故死か、日本語学校長が啓発強化

大阪市生野区の市道交差点で昨年6月、自転車に乗ったネパール国籍の女性が車にはねられて死亡した。来日したばかりで、一時停止の標識の意味を理解できていなかった可能性があるという。通っていた日本語学校の校長は、現場で交通ルールの順守を呼びかけ、外国人留学生に自転車用ヘルメットの費用を補助するなど、再発防止に努めている。

事故の経緯と背景

事故があったのは、大阪市生野区新今里の交差点。昨年6月27日午後、ネパール国籍の同校留学生の女性(当時22歳)が、自転車で通学中にワゴン車と衝突した。頭を強く打ち、病院に運ばれたが12日後に亡くなった。

交差点は女性の自宅から同校に向かう途中の住宅街にある。生活道路と片側1車線の市道が交わり、信号と横断歩道はない。生活道路側に「止まれ」と日本語で書かれた一時停止の標識があった。女性は通学のため生活道路を直進したが、一時停止せず交差点に進入し、事故に遭った。

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同校によると、女性は交通ルールの理解が曖昧で、標識の「止まれ」の日本語も読めなかった可能性があるという。女性は昨年4月に来日し、大学進学を目指していた。遺品の教科書には、学んだことが細かく書き込まれていた。クラスメートでネパール国籍の女性(22)は「亡くなった女性は勉強熱心だった。優しい性格で、介護の勉強がしたいと言っていた」と振り返った。

学校の啓発活動と課題

事故をきっかけに、辻本さんは啓発を強化した。同校では9か国の約300人が日本語を学ぶ。学生の約7割が自転車通学だが、日本語や交通ルールがわからない人が他にも多くいると考え、事故のあった交差点で20回ほど、注意を呼びかけてきたという。

以前から、入学式後に交通ルールや自転車のマナーについて教える機会はあったが、ビザの関係で来日時期がそろわず、全員が入学式に間に合わない状況もあったという。辻本さんは「来日したばかりで日本語がわからない子たちに、交通ルールを理解してもらうのは難しい」と語った。

同校に通う別のネパール国籍の女性(22)は「母国では信号機がないところに住んでいた。交通ルールも普及していない。来日するまで自転車に乗ったこともなく、標識が何なのかもわからなかった」と話した。

同校は学生分の自転車用ヘルメット代金の半額を負担。各クラスで交通安全ルールを教え、学生が参加するLINEグループでも、職員が定期的に注意を促すようにした。

行政の対応と事故の統計

生野署は昨年8月、現場交差点の一部の標識を「止まれ STOP」と英語を併記したものに取り換えた。英語併記の標識は2017年以降、訪日外国人対策で全国で徐々に切り替えが進む。大阪では一時停止の標識約7万8000本のうち、約1万1000本で切り替えられた。生野区役所では、交通安全を教える取り組みを検討しているという。

交差点を毎日通るという同校のミャンマー国籍の女性(22)は「この道を通るたび、亡くなった女性を思い出す。家族を悲しませないためにも、ヘルメットをかぶり、ルールを守らないといけない」と話した。

大阪府内の交通事故は減少傾向だが、外国人が関係する事故の割合は増えている。府警によると、2016年の交通事故は3万7920件で、外国人が関わる事故は3.3%(1237件)。25年は2万5056件のうち、5.1%(1286件)を占めた。

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留学生や技能実習生は通常、学校側や監理団体から交通ルールを学ぶ。府警では、主に依頼があった場合に在留外国人の受け入れ企業や学校で交通安全教室を実施している。昨年は282回開催し、1万3764人の外国人が参加したという。